大きな黒い目、垂れた耳にふわふわの飾り毛。穏やかで人懐っこく、優雅な身のこなしで人気のキャバリアは、イギリス生まれの愛玩犬です。その愛らしい姿はイギリス王室や貴族を夢中にさせてきただけでなく、今もなお世界中で愛好家が後を絶ちません。この記事では、そんなキャバリアの魅力と楽しく暮らすためのポイントについて紹介します。
もくじ
イギリス王室を夢中にさせた犬として有名なキャバリア。正式名称をキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルといいます。穏やかな性格と可愛らしい姿で、その人気は留まるところを知りません。
ここでは、そんな魅力あふれるキャバリアの特徴や性格、歴史を紹介します。
優雅な姿と身のこなしが魅力的なキャバリアは、丸く大きな瞳とツインテールのような垂れた耳、短いマズルが可愛らしい犬です。
体高は30〜33 cm 、体重が5kg~8kgで、中型犬に分類されます。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
細く柔らかな被毛の長毛種で、毛質はストレートとウエーブの2種類が存在します。毛色は4種類あり、白と栗色のブレンハイム、黒と茶色のブラック&タン、赤茶色のルビー、白、黒、茶色の3色のトライカラーです。耳や足には飾り毛があり優雅な雰囲気です。
キャバリアは、家庭犬に必要な資質を兼ね備えている犬種です。明るく社交的な性格で、ほかの犬や子どもと楽しく暮らし、一緒に遊ぶことができます。家族以外とのコミュニケーションも得意なので、家の外でも人気者になれるでしょう。
攻撃的な面もあまりなく、しつけもしやすいので、初めての人でも安心して飼うことができる犬種です。
愛玩犬として人気の高いキャバリアは、イギリス原産の犬で長くイギリス王室に愛されている犬種。そのルーツは、16世紀ごろに鳥猟犬として活躍していた犬が祖先だったのではないかと言われています。
昔の絵画に残された姿を頼りに改良されてきたキャバリアですが、鼻ぺちゃの犬と交配し作り出されたため、愛らしい容姿とひきかえに呼吸器疾患を起こしやすいと問題になりました。
その後、愛犬家たちが呼吸器疾患を避けるため鼻の長いキャバリアを復活させようと尽力し、今の姿が固定化しています。
キャバリアは、室内飼育が基本。誰とでも仲良くできるキャバリアですが、よりよく暮らすためには注意が必要です。
明るい性格のキャバリアは、飼い主さんに褒められることが大好き。明るく少々大げさに声をかけてあげれば、あっという間に理解し、色々できるようになる賢さを持っています。
逆に怒られることは大嫌いで、叱られることが続けば、いうことを聞かなくなってしまいます。叱る場合はしつこく繰り返さず、短くわかりやすく伝えれば十分です。
飼い主さんの表情や態度に敏感なため、前向きな気持ちで一緒に楽しみながらしつけを行い良い関係を築きましょう。
キャバリアは、運動することは大好きです。何時間もの散歩は必要ありませんが、1回20〜30分程度の散歩を1日1〜2回ほどすると良いでしょう。
遊び好きなのでボール投げやアジリティ競技、ドックランなどでの遊びも大好き。雨などで散歩に行けない日が続く場合には、室内で遊ぶことでストレス発散や運動不足を解消できます。
ただし、床が滑ると腰や関節に負担がかかってしまいます。室内で遊ぶ場合には床材に注意して滑らない工夫をするようにしましょう。
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明るく朗らかなキャバリアは人が大好き。一緒に遊んだり、大好きな飼い主さんのそばにいることを好むため、普段から十分なコミュニケーションをとりましょう。
常に誰かがいる家庭であれば問題ありませんが、一人での留守番など寂しい思いをすることが続けば問題行動を起こしかねません。
日々の散歩やお手入れ、しつけの時間など触れ合える時間をたっぷりととり、十分な愛情を伝えるようにしましょう。
キャバリアの美しい被毛はダブルコートのため、換毛期には大量の抜け毛が発生します。放っておけば絡まって毛玉になってしまったり、部屋が散らかる原因となったりします。
日々こまめにブラッシングなどのお手入れをし、美しい被毛を保つようにしましょう。しっぽや手足の飾り毛部分も忘れずにブラッシングしてください。
垂れ耳を清潔に保つことも大切。被毛のお手入れついでに耳もチェックして、異常がないか確認してあげましょう。
キャバリアの平均寿命は9~14歳と言われています。犬全体の寿命と比べると、平均からやや短命と言えるかもしれません。これは、遺伝子疾患として心臓病を患っていることが多いことに起因していると考えられます。
しかし、日頃から健康管理を欠かさず、異常を早期に発見し、早期に治療することで長生きすることも少なくありません。短命な犬種だからと諦めるのではなく、普段から注意深く観察し、ストレスを溜めないよう気をつけてあげましょう。
ペットとして迎え入れるなら、キャバリアのかかりやすい病気などはチェックしておきたいところ。キャバリアの注意しておきたい病気について紹介します。
鼻が短い犬種に発生する呼吸器疾患で、気道が狭くなりグーグーといった呼吸音が聞こえるようになります。若齢から発症すること多く、重症化すると命に関わることもあるため、早期に対処して重症化を防ぐことが大切です。
垂れ耳で毛の長いキャバリアは耳道内の通気が悪く、外耳炎になりやすい犬種です。耳を気にしている様子や、耳が臭うなどの症状がみられたら、すぐ病院に行きましょう。
脊髄の中に空洞ができることで、脊髄の機能に異常が起きる病気です。先天性と後天性のものがありますが、キャバリアは遺伝的に発症しやすい犬種だと言われています。
症状は様々ですが、首の痛みや四肢の痺れ、痙攣や足の開脚異常や体の歪みなどが現れます。重症化すると、体だけでなく呼吸筋にまで麻痺が広がり、呼吸不全を起こす危険性もあります。疑わしい場合には、発症を疑われた場合には、CTやMRIで検査をする必要があります。
老犬に発症が多い心疾患です。血液を送り出すために動く心臓の弁が、何らかの理由で変性することで、うまく血液が送れなくなります。
最初は息切れや咳、疲れやすいなどの症状から始まりますが、最終的には臓器不全を引き起こす原因になります。キャバリアは遺伝的に発症しやすい犬種なので、様子をよく観察し、おかしいなと感じたら早めに受診しましょう。
加齢に伴い起こりやすい目の病気で、水晶体が白く濁って視力が落ちてしまいます。目が白くなる、壁や物にぶつかるようになったら注意が必要です。
キャバリアの子犬を迎え入れるための相場は25〜40万円(2024年7月時点)です。ただし、値段は性別、血統、購入方法によって変動します。人気の高いチャンピオン犬の子となれば、非常に高額になることもあります。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。キャバリアが欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。
月齢がある程度いった子犬ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。
犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。
飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。また、キャバリアは数が少ない上、人気犬種なので出会うには運やタイミングが必要です。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
中型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1万5,000~3万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~7,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で2,000~6,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、中型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、中型犬の1ヶ月の保険料は1,800~5,000円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。