「猫の王様」という名にふさわしく、美しく気品のある姿で世界中の人々を古くから魅了し続けているペルシャ猫。「いつかは一緒に暮らしてみたい」と憧れる人も多く、愛猫家にも一目置かれる魅力的な猫種です。そこで今回は、改めてペルシャ猫の魅力や、楽しく暮らすためのポイントを紹介します。
もくじ
ペルシャ猫は、猫好きじゃない人でも、その名を聞いたことがあるくらいメジャーな猫です。世界中に熱狂的な愛好家が存在し、ショーキャットとしても活躍するペルシャ猫とは、一体どんな猫なのでしょうか。
ペルシャ猫最大の特徴はそのゴージャスな被毛です。ふわふわで柔らかく豊かな長毛は、まさに猫界の王様と呼ばれるにふさわしい気品をたたえています。一方、顔の形はまん丸で鼻が短く、愛嬌のあるぺちゃんこ顔。離れた大きな丸い目と耳も独特の雰囲気です。
フサフサの毛でわかりにくいのですが、実は骨太でがっしりした体型をしています。オスが3.0kg~5.5kg、メスは3.0kg~5.0kgと猫としては中型で、足はがっしりとして短く、丸い足先となっています。
毛色は単色の場合、ホワイト、ブラック、ブルー、クリーム、レッドの5色。これらの色にタビー(しま模様)、バイカラー白を含む2色)、キャリコ(三毛猫)、スモークなど、さまざまな毛色が存在しており、毛色によって瞳の色もさまざまです。
ホワイト単色のペルシャ猫の中には、ときどきオッドアイと呼ばれる左右の目の色が違う個体が存在します。
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ペルシャ猫の中で、シルバーかゴールドの毛色にブルーやグリーン系統の瞳を持つ個体を特別にチンチラと呼びます。独立した品種として認めている検討団体は少ないものの、カラーバリエーションの枠を超えて多くの愛好家に親しまれています。
ペルシャ猫は、おっとりして落ちついた性格をしています。飼い主さんにもよくなつき、無駄に鳴くことはありません。
運動はあまり得意ではなく、ゆっくりと過ごすことが好きなようです。マイペースな一面があるので、必要に構われることはあまり好まず、過剰な運動やスキンシップはストレスになるので注意が必要です。
一人で過ごすのもあまり苦にならないので、一人暮らしの人や不在がちの人でも安心して飼うことができます。
ペルシャ猫の起源の詳細は不明です。名前の通りペルシャ(現在のイラン)の猫とターキッシュアンゴラを交配して誕生したとも言われていますが、その他にも諸説あるようです。
はっきりしているのは1800年代に盛んに繁殖が行われ、ロンドンで開かれた世界初の公式なキャットショーに登場したことです。その可愛らしい姿は瞬く間に上流階級の人々を虜にし、アメリカを経由して世界へとその人気を広めていきました。
その後もカラーバリエーションを求めて繁殖が繰り返され、その流れの中でチンチラも誕生。今もなお、世界中でさまざまなタイプのペルシャ猫が誕生しています。
ゴージャスな見た目に反して、初心者でも飼いやすいと言われているペルシャ猫。ここでは、ペルシャ猫の飼い方のコツを紹介します。
ペルシャ猫はおっとりゆったりと暮らすため、いたずらなどの心配はあまりありませんが、被毛のお手入れは頻回に行う必要があります。特に首の周りの毛はとっても豪華なので、丁寧なグルーミングが必要になります。
毎日のブラッシングで余計な抜け毛を取り除き、毛玉ができないようにもつれや絡んでいる部分を解きほぐしましょう。
ペルシャ猫は長毛のため、飲んだ毛玉が胃袋の中に溜まり、毛球症となることがあります。毛玉を吐く回数が多いようであればブラッシングの回数や時間を増やし、食事やサプリメントを使うなどの対策を行うとよいでしょう。
短頭種であるペルシャ猫の目は常に涙が出ています。放置しておけば涙焼けができてしまうことがあるため、定期的に濡れタオルなどで拭いて清潔にしてあげましょう。
また、目と鼻をつなぐ鼻涙管を通した涙は鼻から排出されることもあります。食事で汚れることも考えられるため、食事の後やブラッシングの際には、目と鼻のケアにも気を配りましょう。
ペルシャ猫はあまり運動を好まず、ゆっくりと過ごすことが好きな猫です。「食べるのが大好きだから」と食事をさせすぎたり、おやつをあげすぎたりすると、いつの間にか太りすぎてしまうかもしれません。
そこで普段から猫に触れ、肥満になっていないかをチェックして、必要に応じて食事量をコントロールするなどの工夫をしましょう。
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ペルシャ猫の平均寿命は16~18歳と言われています。猫全体の平均寿命と比べると、ペルシャ猫は長生きと言える方です。
しかし、純血種であるがゆえの遺伝子疾患の危険性も秘めています。日頃から運動量や食事に気をつけるなど健康管理をしっかりして、1日でも長く一緒に暮らしたいものです。
ペルシャ猫は遺伝性疾患も多いため、病気を知り普段から十分に注意しておきましょう。
腎臓にたくさんの嚢胞ができ、腎機能が徐々に下がっていく遺伝性の病気です。多くの場合、3歳~10歳くらいまでの間に腎不全の症状が見られるようになります。ペルシャ猫やペルシャ猫と血縁関係のある猫に特に好発しやすいと言われています。
尿の中に結晶や結石ができ、膀胱や尿道の粘膜を傷つけて炎症を起こす病気です。頻尿や血尿が初期症状で、悪化すれば尿が出なくなってしまいます。普段から尿の回数や色を観察し、気を配るようにしましょう。
目の周りが常に涙で濡れて毛が変色している状態です。涙やけとも言われ、マイボーム腺の異常や鼻涙管の閉塞、感染症や体質が原因で起こります。ペルシャ猫には特に多く、細やかなケアが必要です。
免疫力が弱い子猫や抵抗力が落ちた病気の猫、老猫の皮膚にカビが生える病気です。気づかずに放置すると円形の脱毛が見られるようになります。一箇所ではなく点在することが多く、段々と広がっていきます。
代表的な心疾患です。原因は遺伝性が疑われていますが、詳しくは不明とされています。心臓の筋肉が肥大し、心室が狭くなることで血液をうまく送れなくなるため、運動をしたがらなくなったり、呼吸困難や身体の麻痺が起こったりする場合もあります。
ペルシャ猫の場合、早期発見のために症状が出なくても、定期的に検査を受けるとよいでしょう。
遺伝子が影響して、耳が聞こえていない・聞こえにくいという状態になります。白い毛を持つ純血種に特に多く発生するため、迎え入れる際には品種や交配種を確認しておきましょう。
鼻が短い猫に発生する呼吸器疾患で、気道が狭くなりグーグーといった呼吸音が聞こえるようになります。若齢から発症すること多く、重症化すると命に関わることもあるため、早期に対処して重症化を防ぐことが大切です。
加齢に伴い起こりやすい目の病気で、水晶体が白く濁って視力が落ちてしまいます。目が白くなる、壁や物にぶつかるようになったら注意が必要です。
ペルシャ猫の子猫の価格は15〜30万円程度(2024年7月時点)。性別や色柄、血統によって変化し、中には50万越えの高い値段が付けられる場合も少なくありません。
ペルシャ猫を迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。ペルシャ猫が欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。
月齢がある程度いった子猫ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する猫の繁殖を専門とする人のこと。猫種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから猫を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。猫の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親猫の様子を事前に確認することができるため、成猫時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所などから猫を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。
また、ペルシャ猫は数が少ない上、人気猫種なので出会うには運やタイミングが必要です。
猫を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。2~3万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・キャットフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・猫砂
・消臭シート
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・爪とぎ
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、子猫が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
猫を迎える前に準備しておきたいもの
猫を迎える前に整えておきたい室内のポイント
猫をペットとして迎える時の心構え
ワクチン接種・健康診断の費用として1万円~1万5,000円ほどがかかります。
猫の平均的な飼育費用は、1カ月あたり7,000~1万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で3,000~4,000円ほどかかります。
猫砂や消臭シートなどの日用品が1カ月で800~2,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、その費用も必要になります。平均すると1回あたり、5,000~1万円ほどかかります。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で2万円ほど必要でしょう。1カ月にすると1,500円程度です。
初めて猫を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子猫は、異物誤飲や環境変化によるストレス性の軟便や下痢が多いです。
ただし、どちらも場合によっては10万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防や体調の変化に気を付けることが大切です。
お迎えしたばかりの頃は、環境変化によるストレスで軟便や風邪になりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、猫の1ヶ月の保険料は1,300~2,400円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように猫も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする猫の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。