【獣医師監修】猫にシャンプーは必要ない?知っておきたい知識をご紹介
2021.11.25 作成

【獣医師監修】猫にシャンプーは必要ない?適切な頻度や人間用は使ってもいいの?疑問を徹底解説

獣医師

東 一平

東 一平

みなさんは猫にシャンプーをしてあげますか?必要だと思っている人もいるようですが、実は必須ではありません。猫の状態や性格、飼い主さんとの関係性など様々な条件にもよりますが、自身の体をグルーミングして整える「猫」という生態を考えたとき、シャンプーが本当に必要なのかどうかも含めて解説します。

もくじ

    何より大事な猫のシャンプーの必要性

    【獣医師監修】猫にシャンプーは必要ない?知っておきたい知識をご紹介
    (KDdesignphoto/shutterstock)

    先に結論から述べますと、猫のシャンプーは基本的には必要ありません。

    猫はきれい好きです。自分の被毛をしっかりとグルーミング、いわゆる毛づくろいによって整えて、清潔に維持してくれます。また、生活環境を清潔に保つことによって、汚れにくい生活を送ってもらうことも大事です。

    猫は人間のように汗をかきませんし、皮膚への分泌物も過剰には出ません。さらに、日々の生活の中で、触れ合いやブラッシングを行うことによって、抜けるべき被毛、落とすべき体表に残るフケをきちんと代謝させてあげれば、猫にシャンプーをする必要はないでしょう。

     

    シャンプーが必要な猫とは?

    シャンプーが必要な猫とは?
    (Lovgretphoto/shutterstock)

    とはいえ、全ての猫がグルーミングによって全身を清潔に保ったり、ブラッシングを受け入れてくれるわけではありません。生活環境の違い、毛の質、性格、多くの要素を考慮しなければいけません。 

    • 肥満などで全身のグルーミングが行えない、そもそもグルーミングをあまり行わない
    • 長毛のために毛玉などができやすい
    • 性格的にブラッシングが出来ない

    などの場合、飼い主さんがシャンプーという形で被毛・皮膚の正常な維持を手伝う必要のある子もいます。猫のシャンプーの頻度は、その子の状態によって異なるため、かかりつけ獣医師に相談して適切な頻度で行うようにしましょう。

    汚れてしまった場合

    また、偶発的な問題でシャンプーをする必要もあります。 

    • 食事で汚れてしまった
    • 家の中で植木にいたずらをして汚れてしまった
    • 汚れている場所に入ってしまった

    など、猫はどこでも冒険しますから、そういう場合にはシャンプーが必要になることもあります。

    猫目線でシャンプーを考える

    猫目線でシャンプーを考える
    (Vladimir Gudvin/shutterstock)

    猫は、はっきり言ってシャンプーが嫌いです。例外的に好きな子もいるかもしれませんが、体が濡れたり、シャンプーの泡などがついたりすることは猫にとっては気持ちの良いことではありません。

    猫はドライヤーも嫌い?

    シャンプーのあと、乾かすときは猫の不平不満は更に高まるでしょう。ドライヤーのけたたましい音、浴びせかけられる風、刺激に敏感な猫にとっては、好ましい行為ではないのです。

    猫のシャンプーに洗濯ネットを使うのはNG?

    洗濯ネットに入れてシャンプーするなんて話も聞きますが、洗濯ネットに入れられ動きを封じられた状態で水をかけられる恐怖は強いものになるでしょう。ネットに隙間があっても水に濡れることで呼吸の邪魔になる可能性もあります。

    ネットで動きを封じられているせいで思いもよらない動きをしたり、死ぬ気で抵抗してきたりする可能性もありすすめられません。

    それでもシャンプーが必要なときは?

    それでもシャンプーをしなければいけない場合は、できる限り猫に配慮しましょう。適切な手順で迅速にシャンプーを終わらせて、皮膚に悪影響を与えないように、できる限り早く乾燥させます。

    これは、実は非常に難易度が高いことを要求されています。もし、猫が激しくシャンプーを嫌がる場合は、プロに任せましょう。激しく暴れる子の場合は動物病院で適正な鎮静をさせてシャンプーをしてもらうという選択肢もあります。

    シャンプーをする側も暴れる猫を無理やり押さえつけるなどの危険な行為を行わずに済みますし、猫側も恐怖からの決死の抵抗をする必要がなくなります。

    猫にシャンプーを慣れさせるには子猫のうち?いつからならOK?

    もし、自然に猫にシャンプーを受け入れさせる方法があるとすれば、小さい頃から無理をしないでシャンプーを行って、シャンプーに対する恐怖心を取り除いてあげると良いでしょう。ただし、これも猫の資質によるところが多いです。

    子猫にシャンプーをする場合、注意しなければいけないことも多いので、タイミングややり方を必ずかかりつけの動物病院で相談しましょう。

    【関連記事】
    猫にシャワーをかけても大丈夫?上手なシャンプーの仕方

     

    猫に適したシャンプーとは

    猫に適したシャンプーとは
    (AJR_photo/shutterstock)

    猫に使うシャンプー選びも大事です。シャンプーの目的は洗浄(不必要なものを落とす)、そして保湿(足りないものを補う)です。これらを考えて猫のシャンプーを選びましょう。注意してほしいのは、匂いの強いものです。猫にとって強い香りは健康を損なうことがありますので気をつけましょう。

    人間用のシャンプーを使うのはNG

    人間用のシャンプーを代用することは避けましょう。人間用のシャンプーは、人間の皮膚や髪の毛に合わせて作られたものなので、猫には使ってはいけません。過剰に皮脂を落としすぎたり、シャンプー後の皮膚トラブルにつながります。

    ちなみに、シャンプー後の毛のケアなどを楽にするための猫専用のリンスを使うことは問題ありません。猫用のものを使ってあげてください。

    猫との幸せな生活のために

    猫との幸せな生活のために
    (kholywood/shutterstock)

    毎日の被毛や皮膚の観察、ブラッシングによる触れ合いを通して、猫の健康を確かめることは、病気の早期発見につながる非常に有効な手段です。

    猫にとって大きなストレスにならなければ、シャンプー時に普段見えにくい皮膚を見ることができたり、全身を触ることによって腫れている場所や炎症を起こしている場所に気付ける可能性があります。

    猫のシャンプーで大切なポイントのまとめ

    • 猫のシャンプーは基本的に必要ありませんが、理由があってシャンプーを行うのであれば、猫にとって不快にならずに、健康にも悪影響を与えない方法を選びましょう。
    • 猫のために用意された道具やシャンプーを適切に使用し、適切な手順で猫の性格に合わせたシャンプーすることも大切です。
    • 猫の性格や処理の難しい状態の場合はプロに相談するのもおすすめです。

    お互いのためにも正しい知識で猫のシャンプーと向き合って、楽しい飼い主ライフを過ごしましょう。

    著者・監修者

    東 一平

    獣医師

    東 一平

    プロフィール詳細

    所属 株式会社アイエス 代表取締役
    アイエス動物病院(千葉県市川市) 院長

    日本小動物歯科研究会
    日本獣医皮膚科学会
    比較眼科学会
    日本獣医麻酔外科学会

    略歴 1978年 千葉県に生まれる
    1997年 麻布大学 獣医学部獣医学科入学
    2003年 獣医師国家資格取得
    2003年~2004年 アイエス動物病院に勤務
    2004年~2005年 東京都内の動物病院に勤務
    2005年 千葉県市川市のアイエス動物病院の院長に就任

    資格 獣医師免許

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