スパパパパパパン、高速で行われる猫パンチ。面白おかしく見える猫パンチ本気を出したらとっても危険な場合もあります。猫パンチをしている猫の気持ち、猫パンチの隠れた怖さ、知らないと思わぬ病気にかかってしまう可能性、猫という生物の習性から、猫パンチを紐解いて理解しましょう。
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実は猫にも人間と同じように利き手があることをご存知ですか?日常生活で猫をよく観察していると、多く使う前あし、大事な場面で使う前あしがあることに気がつくと思います。それが猫の利き手だと考えられています。
オス猫は左利き、メス猫は右利きが多いそうです。面白いですね。
おもちゃで遊ぶときやジャンプするときに主に使っている手、着地する時に先につく手、トイレの時に使う手、寝っ転がる時に上にしている手など、猫と遊んだりコミニュケーションを取る時に、よく観察して利き手を見つけてみましょう。
そもそも猫パンチとはなんのために行うのでしょうか?探査・遊戯(遊び)・けん制の3種類の猫パンチについてご紹介します。
猫が隙間や狭い場所に手を突っ込んで何やらパンチを繰り出しているとき、それは探査の猫パンチかもしれません。
何がいるかわからない空間にいきなり飛び込めば危険があるかもしれない、そんな場所にすばやい猫パンチを繰り出して「中を探ろうとする」「中にいる何かを外に引っ張り出す」「穴から追い出そうとする」それが探査の猫パンチです。
おもちゃや、時に昆虫や小動物に対して「パンチ!」それは遊びの猫パンチです。部屋に入ってきた昆虫で遊んだあと、それを誇らしげに飼い主さんに見せ、飼い主さんが悲鳴をあげてしまうこともあるのではないでしょうか。猫は屋外だとネズミなどを狩ることでも有名です。
猫の知的好奇心や闘争本能を満たすために放つ猫パンチ、獲物を仕留めるでもなく、遊ぶようにパンチをくりだして楽しそうに興奮していたら、それは遊戯(遊び)の猫パンチです。
闘争時における攻撃としてのパンチ。それが、けん制の猫パンチです。戦いになった時に「できれば、けん制で相手に引いて欲しい」という気持ちからボクシングで言うジャブのように相手をけん制します。軽い遊びのときとは異なり、爪を出して相手を傷つけることを目的とした激しい攻撃です。
険しい表情でシャーシャー言いながら猫パンチを放っていたら、けん制の猫パンチです。本気なので威力も高く容赦なく連打してきて非常に痛いです。
3種類の猫パンチをご紹介しましたが、それぞれの猫パンチによってストレスが発散されることもあれば、逆に溜まってしまう場合もあります。
探査のパンチや遊戯のパンチは、猫の本能である知的好奇心を満たし、狩猟本能を満たすことによってストレスを発散することに役立ちます。同時に獲物を追い込んだり、追うために走ったりと運動不足の解消にも繋がります。
室内飼育でも猫のストレスに配慮した快適な空間・環境を作ることは可能ですが、運動や狩猟などには人間の工夫が必要です。
誤飲などには十分に注意し、筒のような構造のおもちゃなどを用いて猫と遊ぶことは、猫のストレス発散になります。飼い主さんもかわいい猫を見てストレスが発散できますね。
闘争時のけん制パンチは、戦いという強いストレス下に置かれるために、猫にとって好ましい状態ではありません。遊びから戦いに変化してしまった場合は、飼い主さんが早めに気づいてその興奮状態から開放してあげましょう。
猫の表情、姿勢、行動をよく観察して、ストレスが溜まるような状態に置かないように気をつけてあげてください。
最初は遊びだったとしても、しつこくしたり、激しくしすぎて、不機嫌になり攻撃的な態度を示すことがあります。目つきや耳の立て方、尻尾の動きや声などから猫の機嫌を察知しましょう。
例えば、
上記のような行動が認められた場合は、一旦遊びを中断してクールダウンすることをおすすめします。
過剰な興奮が見られたら、不機嫌なサインが出た時と同様に、遊びを中断しクールダウンするようにしましょう。
過剰に興奮させることを繰り返して習慣化してしまうと、飼い主さんに遊ぶ意図がない時でも攻撃をしてきたりと、生活しづらくなってしまうこともあります。
何事もメリハリを付けてあげることが大事です。遊ぶときは遊ぶ。ただし、遊びの範疇を超えるような過剰な興奮はさせないように気をつけてください。
飼い主さんと遊んでいるときに繰り出される、遊戯の猫パンチも興奮しすぎると鋭利な武器が顔を出してきます。爪による攻撃です。
猫の爪にはバルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae)という細菌が存在しており、この菌は「猫ひっかき病」という病気の原因になります。この細菌は常在菌と呼ばれ、健康な猫でも保有する菌の仲間なので、猫に対して治療を行うことはありません。
外で生活する野良猫のほうが危険性は高いのですが、室内で飼育されている猫でも油断はできません。
猫ひっかき病になると、引っかかれた部位の近くのリンパ節が腫れたり、発熱したりします。重症化すれば脳炎などを引き起こし、場合によっては命に関わる可能性もある恐ろしい病気です。
猫に引っかかれたり、噛まれてしまった場合、すぐに傷口を清潔な水で洗い流し、消毒しましょう。リンパ節の腫れなど、異常な症状を見つけたら、すぐに人のお医者さんの診察を受けましょう。
猫の優れた身体能力から繰り出される素早い猫パンチは、正しく理解して利用すれば、好奇心や狩猟本能を満たして飼い主さんと愛猫のコミニュケーションツールの一つになります。猫パンチの危険性や猫のストレスをよく理解して、良好な関係を築いていきましょう。