美しく引き締まった体と優れた洞察力で、警察犬や軍用犬としても活躍するドーベルマン。「犬のサラブレット」とも呼ばれるスマートでかっこ良く、優秀な護衛犬として家族を守ってくれる心強い犬種です。今回はそんなドーベルマンの特徴や性格、楽しく暮らすためのポイントを紹介します。
もくじ
警察犬や麻薬探知犬としても活躍しているドーベルマン。クールな印象が強い犬種ですが、本当はどんな犬なのでしょうか。まずはドーベルマンの特徴や性格、歴史についてご紹介します。
ドーベルマンは筋肉質で引き締まった体と凛々しい顔立ちが堂々とした印象を与える犬種です。特長的な尖った耳と短いしっぽは、断耳・断尾によって人工的に作られており、生まれた時には垂れ耳で長いしっぽをもっています。
がっしりとした大型のヨーロピアンタイプに加え、最近では家庭犬として改良されたやや小さいアメリカンタイプが登場し、家庭犬としても人気があります。オスは体高68〜72cm・体重40~45kg、メスは63〜68cm・体重32~35kgの大型犬です。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さのこと。
毛は短く光沢があるブラック・タンとブラウン・タンの2種類が存在します。
凛々しい見た目や筋肉質な体がドーベルマンと似ているミニチュア・ピンシャーですが、犬種としての歴史はミニチュア・ピンシャーの方が古く、スムースダックスフンドやイタリアン・グレーハウンドをルーツに持っています。そのため、成犬になっても体が小さく、スタンダードの毛色にレッドが含まれます。
働く姿から、どこか攻撃的な印象をもたれていることが多いドーベルマンですが、実は穏やかで甘えん坊な性格です。警戒心が強いため、知らない人に対して攻撃的になることも多いのですが、家族には愛情深い甘えん坊でもあります。
幼犬の頃はヤンチャですが非常に賢く、空気を読むことも得意。聞き分けも良く、トレーニングも好奇心をもって非常に良く取り組みます。
ドーベルマンは19世紀後半にドイツで誕生した犬種です。
1890年頃にドイツのチューリンゲン地方で税金の徴収や野犬の捕獲、夜警などの仕事をしていたカール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマンが、自分を守る警備犬として様々な犬を交配させて作り出したと言われています。
その屈強で威圧感のあるサラブレッドのような姿と知的で勇敢な仕事っぷりは瞬く間に人気となり、1900年にはドイツのケネルクラブに登録されました。
ペットとしてだけでなく、世界中で働く犬として有名なドーベルマン。実際に一緒に暮らすとなったら、どんなことに気をつければよいのでしょうか。ポイントをチェックしてみましょう。
ドーベルマンは非常に活動的な犬種なので、多くの運動量を必要としています。1日に2回、1回30分〜1時間程度の散歩をしっかりと行い、十分な運動を行うようにしましょう。
単純に歩くだけでなく、ジョギングのようなスピードで走ったり、フリスビーやアジリティ競技など、頭と体を思いっきり使う遊びを取り入れたりするなど工夫が必要です。時には広い公園やドックランなどで、思いっきり走り回れる環境を準備してあげたいものです。
ドーベルマンはとても利口で従順な性格をしています。トレーニングも入りやすいのであまり苦労することはないでしょう。
ただし賢い犬だからこそ、主従関係を確立しなければ全く言うことを聞いてくれない可能性もあります。主従関係をはっきりさせるため、幼犬のころからしつけを行うようにしましょう。
また、大型犬で運動能力が非常に高く力も強いため、しっかりとコントロールできなければ、大きな事故が起こってしまうかもしれません。そうならないためにも、コマンドトレーニングなどをしっかりと行い、問題行動が起こらないようにしましょう。
ドーベルマンは被毛が短く、シングルコートのためお手入れはそれほど難しくありません。普段のお手入れは、散歩の後などに汚れた部分を蒸しタオルなどで拭いてあげるだけでも十分です。
しかし、抜け毛は決して少なくないため、毎日のブラッシングを習慣にすると良いでしょう。こうしたお手入れは、甘えん坊のドーベルマンにはスキンシップの時間にもなります。健康チェックを兼ねて、ドーベルマンの心を満たすためにも欠かさず行いたいものです。
ドーベルマンの美しい体を維持するためには、食事の量や回数にも注意が必要です。ドッグフードを与える場合には、袋に書いてある給餌量を目安に与えると良いでしょう。
暑くなってきて食欲が減退した場合は、少量でもカロリーが高い食事に切り替えるなど工夫をして、しっかりとカロリーを取れる工夫をしましょう。
ドーベルマンの平均寿命は12歳前後で、大型犬としては平均的な寿命といえます。ただし、日頃から健康管理をしっかり行えば、良きパートナーとしてより長い時間一緒にいられる可能性も高まります。
運動や食事のこと以上に心配なのが健康に関すること。実際に一緒に暮らすとなると心配になりますよね。ここではドーベルマンかかりやすい病気について紹介します
ドーベルマンの遺伝性疾患として、拡張型心筋症が挙げられます。発症原因は不明で、呼吸困難や咳といった症状から始まり、ひどくなれば意識を失い突然死に至ることもあります。元気が無くつらそうにしている、食欲や体重の低下、運動を嫌がるなど活動量の低下、呼吸困難などが見られたら早めの受診をお勧めします。
大量のガスによって胃がねじれる病気です。症状がひどければ胃の周りの血管を圧迫するため、重篤な症状を引き起こします。落ち着きがなくなる、吐こうとしても吐けない、大量のよだれなどの症状があらわれたら胃拡張・胃捻転を疑ってみましょう。またこの病気は緊急を要することがあるため、怪しいと思ったらすぐに動物病院へ連絡してください。
股関節がうまく発育せず、関節に異常を起こす病気です。足を引きずって歩く、腰を左右に振って歩く、つまずく、運動を嫌がるなどの様子が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
頸椎(けいつい)の奇形や不安定さで、頸部(けいぶ)の脊髄(せきずい)を圧迫して起こる症状をいいます。後ろ足のふらつきや、開脚が見られるようになり、特徴的な歩き方をするようになります。ふらつきや足の踏ん張りがきかないなどの様子が見られたら、早めに検査が必要です。
甲状腺ホルモンの分泌が減少することで元気がなくなり、脱毛、肥満、低体温など、様々な体調不良が見られるようになります。
日本の高温多湿の気候は、皮膚炎の原因となります。普段のお手入れの際には毛の下に隠れている皮膚の状態をよく観察し、脱毛や出血がないかしっかりと確認しましょう。体をかゆがっている様子が見られたり、体を地面に擦り付けたりしている場合には特に注意が必要です。
日本では住宅事情のせいか、ペットショップでドーベルマンに出会うのはなかなか難しいです。価格は40~50万円ほど(2024年7月現在)となります。犬の値段は性別、血統、チャンピオン犬かどうか、購入方法によって変動します。
日本のペットショップで、ドーベルマンを見かけることは少ないです。国内のブリーダーもそう多くはありませんが、まずはコンタクトを取ってみましょう。子犬が確実にいるとは限りませんが、実際に成犬に触れ合ったり、子犬の予約をしたりすることができるでしょう。
ドーベルマンを迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。おおよそ約4〜5万円ほどをみておくと良いでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
ドーベルマンは暑さにも弱いので、夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
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犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2〜3万円ほどかかります。
大型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり2万~4万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~1万2,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で5,000~1万4,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、大型犬の場合1回1万円以上かかるでしょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で4~6万円ほど必要でしょう。1カ月にすると4,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、大型犬の1ヶ月の保険料は2,300~5,900円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。