多くの方がメス猫を飼われた場合に、「避妊手術」を実施されていらっしゃると思います。猫の避妊手術は実際にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?また、手術はどのようなことをするのかについて解説します。
もくじ
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猫の避妊手術は、卵巣と子宮、もしくは卵巣のみを手術で摘出することにより、メスの繁殖能力を取り除き、望まない妊娠を予防します。
早期に避妊手術をすることにより、乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)の発生を抑えるメリットもあります。乳腺腫瘍とは、いわゆる「乳がん」のことです。
猫の繁殖能力は非常に高く、生後7ヶ月くらいで最初の発情期を迎えます。そこで、万が一オスと交尾をすると、2ヶ月後には5~6頭の子猫を産みます。
その子猫たちもあっという間に成長し、避妊手術を行わないと次々と子猫が増えていってしまいます。
昨今では、外に猫を出される方は少ないので、1頭飼いの場合は妊娠する可能性はまずありませんが、「去勢手術をしていないオスと避妊手術をしていないメスの多頭飼い」、「外に散歩に出るような猫」はいつでも妊娠の危険性がともないます。
発情期が来ると、オスを求めてドアが開いたすきに外に出ていってしまい、妊娠して帰宅するというケースもありますし、その時期にメスはびっくりするほど大きな声で鳴いたりします。
避妊手術をすればそういった行動を抑えることができます。
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避妊手術をせずにメス猫と暮らした場合、上述したような発情行動に、多くの飼い主さんが頭を悩まされることになるでしょう。
発情期には通常とは異なる行動をしますので、一瞬の隙をついて外に出てしまい、外の猫と交尾をして妊娠してしまうという大変なリスクがあります。
また、発情に関するこれらの行動はやめさせたくても、まず不可能です。
もちろん個体差はあるので、メス猫の発情期もそこまで大変じゃないよという方もいるかもしれませんが、多くの飼い主さんは悩んで病院に相談に来られます。
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では、避妊手術はいつ頃するのが良いのでしょうか?
メス猫は、生後1歳になる前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍(乳がん)の発生を抑制できることがわかっています。
猫の乳腺腫瘍は全体の腫瘍うち17%を占めるとされ、その発生率はリンパ腫と皮膚腫瘍に次いで、3番目に多いとされています。
そして、猫の乳腺腫瘍はその85~95%が悪性と言われています。
大人になってからの手術もできないことはありませんが、発情を経験する前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生をほとんど抑えることができますし、その他の子宮の病気など病気も予防できますので、生後6ヶ月くらいで行うと良いでしょう。
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時々、「去勢や避妊をすると、本来の生き物としてかわいそうな気がする。」「この子がすごくかわいくて、いい子だからこの子の子供を残したい。」と思われる方もいます。
大好きな大切な愛猫だからこそ、そのように思われる気持ちもとてもよくわかります。
しかしながら、猫という生き物を、人間の暮らしに合うように家族として迎えたのも事実。
犬よりも家畜化されて間もない猫たちは、本能も強く持ち合わせている動物。
猫たちの過剰なストレスを減らし、互いに室内で穏やかに暮らすためには、去勢や避妊といった手術をしてあげることは、飼い主さんとしての大切な責任なのです。
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また、先ほども述べたように、猫の繁殖能力はとても高いです。オスとメスが交尾をすると2ヶ月後には5~6頭の子猫を産みます。その子猫も数ヶ月すると大人になり、あっという間に繁殖期を迎えます。
本来、ペット、家族としての犬や猫は、健康、性格、血統、品種、様々なことを考慮して計画的にプロがブリーディングすべきもの。
無計画に増えてしまった犬や猫たちは、結果とて悲しい結末を迎えることが多いのも事実です。
猫の避妊手術は基本的には全身麻酔になります。前後の麻酔管理も含め約1時間~2時間もあれば麻酔から目覚めます。
全身麻酔をかけるという点や、術後代謝が落ちて太りやすくなるといった点もありますが、病院でしっかりと相談することでより安心して手術を行うことができると思いますので、まずはかかかりつけ医で相談してくださいね。