アレルギー。一言に行っても、アレルギー反応の原因となるものも、きっかけも、症状の出方も様々です。アレルギーとは一体何なのでしょうか? それは体を守る「免疫」反応の過剰反応です。今回はこのアレルギーについて解説していきましょう。
もくじ
(Yekatseryna Netuk/shutterstock)
体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに体内に「抗体」がつくられ、これら外敵を次の侵入時にはやっつけようとする「免疫」という仕組みが備わっています。
ところが、この免疫の仕組みが、食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応して、攻撃をし過ぎる結果、マイナスの症状を引き起こしてしまうのが「アレルギー」です。
本来は体を守るはずの反応が、自分自身を傷つけてしまうアレルギー反応に変わるのです。
多くの方は、アレルギーと聞くと、食物アレルギー、花粉症、ハウスダストアレルギーなどが頭に浮かぶかもしれません。
犬にも食べ物に反応して、皮膚にかゆみや消化器症状を引き起こす食物アレルギー。ハウスダスト、花粉、樹木などの免疫反応を起こさせる物質に反応して、皮膚にかゆみや炎症を引き起こす環境アレルギー(犬アトピー性皮膚炎)があります。
(Tatiane Silva/shutterstock)
犬のアレルギーは、症状として慢性的な皮膚のかゆみや、繰り返す皮膚のかゆみ、炎症、消化器症状によって食物アレルギーや環境アレルギーを疑い、診断をして治療をしていきます。
繰り返す外耳炎や肉球の間を舐める行動も、実はアレルギー症状の場合もあります。
上述のようなアレルギーは、特に命に関わるほどの症状が出ることはほとんどないのですが、実際に怖いのは、アレルギー反応が短い時間で全身に激しくあらわれる、アナフィラキシーです。
(Przemek Iciak/shutterstock)
では、アナフィラキシーとは一体どんな状態なのでしょうか?
犬ではワクチン接種後のアナフィラキシーがよく知られていますが、ワクチン接種以外でも、食べ物、草木、薬剤などに反応してアナフィラキシーが起こることもあります。
アナフィラキシーはどの犬種でも発生しますが、ワクチンに反応するアナフィラキシーは日本では小型犬の純血種、特にミニチュアダックスフンドでの発生が多いです。
アナフィラキシーは、アレルゲンに触れて少し時間がたってから顔面が腫れてしまうムーンフェイス、全身のかゆみ、蕁麻疹(じんましん)などが認められことがあります。
また、以下のような重篤な症状が現れた場合は「アナフィラキシーショック」といいます。アレルゲンに触れて30分くらいでぐったりしてしまう、血圧低下、呼吸が早くなる、呼吸困難、よだれを流す、ふるえ、けいれんなどを引き起こし、最悪の場合、死亡してしまうケースもあります。
(Stephanie L Sanchez/shutterstock)
アナフィラキシーショックは、すぐに病院での緊急対処が必要となります。 呼吸困難や意識低下を起こしている場合には、気管挿管が必要な場合もありますし、血圧低下などが認められる場合、静脈内輸液が必要となります。
また、アレルギー症状を緩和しショックから回復させるために様々な薬剤投与を行います。
急性アナフィラキシーショックは、死亡リスクも高い状態ですが、迅速かつ適切な対処を行えば、ショック状態から回復することも多いです。
飼い主さんは、ワクチン接種後はもちろん、何か薬剤を飲ませる時、普段あまり食べない物をあげる時などは、愛犬の様子をよく観察し、何かあればすぐに対応できるように心構えしておくことも大切です。
ちょっとした変化を見逃さないことや、アレルギーが起きたときの心構えがあるだけで、犬たちを急激なアナフィラキシーから守ってあげることができるのです。