“猫エイズ”…猫を飼っている方なら一度は耳にしたことがある疾患だと思います。今は、病院でもすぐに猫エイズに感染しているかチェックができるようになりましたが、猫エイズは、どんな病気なのでしょうか。 予防法があるのか、もしも猫エイズに感染してしまったらどうすればよいのか、解説していきます。
もくじ
(ANUCHID.L/shutterstock)
エイズ、(AIDS)は、acquired immunodeficiency syndromeの略であり、“後天性免疫不全症候群”と訳されます。
猫エイズとは、猫免疫不全ウイルス(FIV;feline immunodeficiency virus)感染症による免疫不全症候群です。人間に感染することはありません。
以下、猫エイズ(FIV)と表記していきます。
また、感染力は高くはないとされていますが、猫エイズ(FIV)感染猫と同じ食器でフードや水を飲むことでも、感染を広げるリスクがあります。
感染率においては、猫の生活スタイルにも非常に左右され、屋外にも出る猫の場合、約15〜30%と高い傾向があります。またオス猫の方がメス猫と比較すると、感染率が2倍以上となります。テリトリーをめぐって争いをするためと考えられます。
【急性期】
元気がなくなり、リンパの腫れや発熱などを起こします。
感染後数週間〜4ヶ月程度持続します。
〈主な症状〉
・発熱
・下痢
・リンパ節腫大(しゅだい)
・好中球減少(こうちゅうきゅうげんしょう)
・抗体陽転
【無症状キャリアー期】
その名の通り無症状に見える状態です。
数ヶ月から数年程度持続します。
〈主な症状〉
・なし
【持続性リンパ節腫大期】
全身にあるリンパ節が腫れてきます。ただし見た目では確認しづらいことも多いです。
1ヶ月〜2ヶ月程度持続します。
〈主な症状〉
・リンパ節腫大
【エイズ関連症候群期】
徐々に全身の免疫機能が低下してきます。口内炎や風邪症状などが見られます。
1年程度持続します。
〈主な症状〉
・体重減少
・口内炎
・歯肉炎
・上部気道炎
【後天性免疫不全症候群期:AIDS期】
全身の機能低下が見られ、さまざまな感染症にかかりやすくなり、最終的に死に至ります。
〈主な症状〉
・体重減少
・日和見感染(ひよりみかんせん)
・腫瘍(しゅよう)
・骨髄抑制
・脳炎
(ANUCHID.L/shutterstock)
猫が実際に猫エイズ(FIV)に感染し、抗体が産生されるのには約1〜2ヶ月かかります。それまでの期間は仮に猫エイズ(FIV)に感染していたとしても抗体陰性となります。
感染の可能性がある猫に関しては、一度検査を行ったのち、約2ヶ月後に再検査をすることが重要です。
また、子猫の検査においても注意が必要です。母猫がFIV陽性だった場合、母猫からの移行抗体により、子猫は感染していないにも関わらず陽性の結果が出てしまいます。
移行抗体は生後12週齢程度まで残るため、もし陽性だった場合には、6ヶ月齢以上になってから再検査することが重要です。
したがって、ウイルスに対する治療と感染に伴う免疫不全の症状に対する対処療法が主体となります。抗ウイルス薬に関しては、副作用も大きく、実際にはあまり臨床現場では使用されません。
対処療法としては、口内炎、下痢、気道炎など様々な症状に対して一般的治療を行います。
(Christine Glade/shutterstock)
・猫を室内飼いすること
・新しい猫を多頭飼いする際には、感染の有無を確認すること
上記を徹底することにより感染は予防できます。
ちょっとした傷も治りにくくなり、免疫力の低下から病気にもなりやすくなりますので、いつでも愛猫の様子を気にかけてあげなければなりません。
室内飼育を心がけ、まずは感染させないことが大切です。