他のペットと違い、体臭が少ないと言われている猫。臭いがしないどころか「おひさまのいい臭いがする!」という飼い主さんもいますよね。そんな愛猫から突然イヤな体臭がしたら…?猫の体臭にまつわるアレコレを解説します。
もくじ
(Africa Studio/shutterstock)
良い匂いと感じるかは個人差がありますが、少なくとも健康な猫にはほとんど体臭がありません。その理由はズバリ「狩猟動物」だから。猫の狩りは待ち伏せスタイルなので、体臭があると獲物に気付かれてしまいます。
そのために猫が行っているのが毛づくろい(グルーミング)。猫は起きている時間の3分の1を、この毛づくろいに費やしているとも言われます。
単なる美容目的の身だしなみではなく、狩猟を成功させるために身につけたテクニック。生きる術なのです。
また、猫は肉球にしか汗をかきません。そのため、汗くさくなることもないのですね。
さらに猫は日向ぼっこが大好き。日向ぼっこには、被毛を乾燥させることで雑菌の繁殖を減らすだけでなく、紫外線による消毒効果もあります。悪臭の原因となる雑菌が少ないため、猫は体臭が少ないというわけです。
ちなみに日向ぼっこには、他にも「体温の維持」「血行促進」「リラックス効果(ストレス解消)」などの作用も。
窓辺でウトウトしている愛猫の姿は、飼い主さんにとってもリラックス効果抜群ですよね。
(New Africa/shutterstock)
このように体臭が少ない猫ですから、嫌な臭いがするときはまずトイレ関係をチェックしてみましょう。猫のオシッコは濃縮されているため、かなり強烈な臭い。肉食動物なので、ウンチもかなり臭います。
基本的に猫はトイレをキレイに使い、排泄後は砂をかけて隠すもの。ですが、中には足にかかってしまったり、トイレからはみ出してしまったりする子もいるので、トイレの仕方をチェックしてみましょう。
お腹の調子が悪くて下痢をしている場合、おしりや後ろ足にウンチがついてしまっている場合も。
困るのは、未去勢のオスによるスプレー行為。縄張りを主張するためのマーキングで、しっぽを立てて壁や家具に強烈な臭いのオシッコを飛ばします。その臭いは思わず顔をしかめてしまうほどです。
去勢すれば行わなくなることがほとんどですが、癖になって去勢後も行う猫もいるようですので、予防したいなら発情前に去勢手術を済ませたほうがいいでしょう。また、未避妊のメスも行うことがあります。
トイレ以外の場所で座って排泄する場合は、スプレー行為ではありません。トイレの場所や素材、掃除の頻度に対するクレームという可能性が高いので、見直してみてください。
猫は、自分のオシッコの臭いがする場所は、トイレと判断してしまいます。スプレー行動や粗相をしてしまったときはすぐに拭き取って、アルコールなどで消毒して臭いを消しておきましょう。
(BoulderPhoto/shutterstock)
「なんだか最近、毛がボサボサしてるな……」臭いに加えてこんな変化を感じたら、何らかの理由でグルーミングが十分できてない可能性を考えましょう。
グルーミング不足の原因として考えるのは、病気やケガなどの体調不良。特に思い当たらない場合は、普段の動きをよく観察してみたほうがいいかもしれません。
グルーミング不足だけでなく、化膿してしまったキズや皮膚炎などが臭いの原因になっている可能性もありますので、スキンシップをしながら全身をチェックしてみましょう。
シニア猫の場合は、そもそもの体力が落ちたり体が不自由になったりするため、体調不良でなくても毛づくろいの頻度が減りがちです。
飼い主さんがブラッシングやペット用ウェットシートなどでケアをして、手助けしてあげてくださいね。ドライシャンプーを活用するのもおすすめです。
臭いの元になる物質を分泌する皮脂腺とアポクリン腺は、しっぽの付け根や肛門周り、足の裏、耳などに集中しているので、ここを念入りにケアしてあげるといいでしょう。
また猫によっては、肛門腺絞りが必要な子もいます。おしりから臭いがする場合は、動物病院でチェックしてもらったほうがいいかもしれません。相談すれば絞り方を教えてくれたり、動物病院で絞ってくれたりもしますよ。
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急に強い臭いを発するようになった場合は、病気が隠れているサインかもしれません。
体のどこから臭いがしているのかによって考えられる病気は異なりますが、気になる場合は動物病院で相談することをおすすめします。
口臭がする場合は、歯周病の可能性が。実は猫の多くは歯周病を患っていると言われています。悪化すると歯がボロボロになるだけでなく、他の病気を引き起こすこともある病気。予防するにはやはり歯みがきが大切です。
口腔内ではなく、胃腸などの内臓が原因で息が臭くなっている場合もあります。普段の様子や食事の様子をよく観察してみましょう。
耳から臭いがする場合は、外耳炎などを起こしている可能性があります。単に耳垢が溜まりすぎているというケースも。お手入れ不足、お手入れのしすぎ、どちらも炎症の原因になりえるので注意しましょう。
元々猫のオシッコはかなり臭いものですが、アンモニア臭がきつくなったと感じたら、膀胱炎や尿路結石といった泌尿器系のトラブルが起きている可能性があります。
ウンチの臭いがきつくなった場合は、消化不良を起こすなど、腸内環境が悪化しているのかもしれません。消化の良いフードに変えてみてはいかがでしょうか。
特定の場所だけでなく、全身から臭いがすると感じるのであれば、皮膚トラブルの可能性があります。毛や地肌がべたついたり、逆にカサカサしていたりしないか、チェックしてみましょう。
また歯周病などを起こしている場合、その臭いが毛づくろいによって全身に移っている場合もあります。
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ここまで「猫自身」の臭いについて見てきましたが、最後にそれ以外の臭いについても確認しておきましょう。
やはり一番臭いの元になるのはトイレ。排泄のたびに片付けてしまえば、臭いはグッと減らすことができます。
そうは言ってもトイレに張り付いているわけにはいきませんよね。その場合は猫砂を多めにする、消臭機能の高い猫砂に変えるといった対策を取りましょう。
そして最低でも毎日1回は排泄物を片付け、月に1回はトイレ自体を洗って猫砂を入れ替えましょう。トイレは洗剤で洗った後にクエン酸を溶かした水をスプレーしたり漬け置きしたりすると、アンモニア臭が軽くなりますよ。
飼い主さんができる臭い対策の2個目はフード。猫は犬のように一度に食べきらず、ちょこちょこ食べることが多いので、フードを出しっぱなしというおうちもあるのでは。
しかし、一度口をつけたフードは雑菌が繁殖しやすく、臭いの元になっていることがあるのです。
フードの出しっぱなしを避けるためには、一度に食べられる量を把握しておき、一定の時間が経ったら下げてしまいましょう。最初は数時間からはじめ、徐々に短くしていけるといいですね。
またフードのかけらや唾液がつきますから、食器は使ったらその都度洗うようにしましょう。
基本的なことですが、換気も臭い対策には効果的。換気がしづらい部屋には空気清浄機や脱臭機を導入するというのもひとつの方法です。猫も人間も快適で健康な毎日を送れるようにしたいですね。