美容や健康に良いだけでなく、目にも楽しく季節を感じさせてくれる果物は、日々の食卓を彩ってくれる存在ですね。愛猫と一緒に楽しむ前に、猫の「食べてもよい果物」「食べてはいけない果物」を確認しておきましょう。
もくじ
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健康の基本は何といっても毎日の食事。「完全肉食動物」と言われる猫は、人間とは必要とする栄養素も消化機能も大きく異なりますので、基本の食事はキャットフード(総合栄養食)を与えることが推奨されています。
その中で果物は、あくまで食べてもいいし食べなくてもいい「おやつ」という位置付け。実際に与えている飼い主さんたちも、栄養補給というより水分補給や腸内環境を整える作用を期待しているケースが多いようです。
・大きさ
肉食の猫の消化機能は植物の消化に向いていませんので、与えるときは細かく刻んだり、すりおろしたりして、必ず消化しやすい形状にする必要があります。
・量
果物の糖分は、猫の小さな体にとって意外とハイカロリーなもの。果物によって適量は異なりますが、基本的には大さじ1程度、ひと口程度と考えましょう。
・下準備
皮や種といった消化しづらい部分は、食べてしまうと下痢を起こすことがあるので、丁寧に取り除いて。果物によっては種で中毒を起こす可能性があるので、注意してください。
持病がある猫の場合は、事前に必ず獣医師に相談しましょう。果物は全般的にカリウムを多く含んでいるので、心臓や腎臓に持病がある場合は避けたほうが安心です。
健康な成猫であっても、最初の数回はアレルギーを起こす可能性を考えて、与えるのはごく少量に。もし異変が起きた場合はすぐに与えるのを中止して、速やかに受診しましょう。
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それでは、猫が食べてもOKな果物から代表的なものを紹介します。意外と日頃から食卓に登場することの多い果物も多いですよ。
1年を通じて出回っているりんご。食物繊維のペクチンによる整腸効果が期待できるので、便秘がちな猫に効果を発揮してくれそうです。
その分、与えすぎると下痢を起こすことも。甘い果物ですから、食べ過ぎると肥満や糖尿病に繋がりかねませんので、量には気をつけてくださいね。
秋の味覚のひとつ・梨も猫が食べられる果物です。水分が多くジューシーな果物なので、水分補給になりますね。和梨・洋梨どちらもOKです。
シャリシャリ硬い果肉を喉に詰まらせたりしないよう、必ず細かく刻んであげましょう。
夏のお楽しみと言えばスイカ、という方も多いのでは?こちらも水分補給に効果が期待できます。面倒ですが、種は取り除くようにしてくださいね。
ただし、カリウムが多く含まれているので、心臓や腎臓の持病がある猫にはNGです。
通年栽培されているメロンは高級なイメージがありますが、夏場は意外とお手頃に楽しめる果物。スイカと同じく水分を多く含む果物なので、水分補給に良いでしょう。
こちらもカリウムが多いので、心臓や腎臓の持病がある猫には避けてください。
見た目もかわいらしく、食卓に登場すると歓声があがるいちご。猫にもお裾分けしやすく、コミュニケーションに役立ちそうです。
ビタミンCの美肌作用より、食物繊維による整腸作用のほうが猫には期待できるでしょう。与える場合は半粒程度を目安にしてください。
夏を通して様々な品種が登場する桃は、ジューシーな甘みが人気の果物。こちらも水分補給として少量ならOKです。
ただし、桃の種は中毒を起こす可能性があると言われていますので、注意しましょう。
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猫が食べられる果物のうち、猫によっては症状が出る可能性がある果物もあります。もし猫が欲しがったときは、注意深く様子を見ながら与えるようにしてください。
人間にとっては、冬場のビタミン補給にぴったりの果物であるみかん。しかし、みかんの皮に含まれるリモネンという成分は猫にとって致死性の高い成分です。
薄皮をむいた果肉のみであれば問題ないといわれていますが、少量ですが同様の成分が含まれているため積極的に与えるべきではないでしょう。また、糖分が多いので与えるとしても1/2房程度に留めてください。
栄養価が高くて消化も良い、おやつや朝食の定番バナナ。猫にとっても体に良い果物ですが、ネックになるのがカロリーの高さです。肥満の原因になりやすいので、適量(ひと口程度)を心掛けましょう。
バナナの皮は消化に悪く、喉に詰まらせてしまうこともありますので、人間が食べた後に皮を放置しないように気をつけてくださいね。
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最近はスーパーやコンビニでも手軽に購入できるパイナップル。食べると舌がヒリヒリした経験のある方もいるのでは?
これはパイナップルに含まれているたんぱく質分解酵素によるもので、猫にも同様の症状が現れることがあります。アレルギー反応の一種なので、もし猫が食べた後に口元を気にしていたら、その後は与えないようにしましょう。
宝石のように輝く初夏の味覚・さくらんぼ。実は食物繊維が豊富なため、下痢を起こしやすい果物です。もし与えるときは、半粒ほどに留めましょう。
また、葉や種には猫にとって毒になる成分が含まれています。必ず種は取り除き、誤食してしまわないよう注意してください。
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最後に、猫が食べてしまうと命に関わる危険な果物について説明します。うっかり誤食してしまうと大変ですので、購入したときは猫が届かない場所に保存することをおすすめします。
中毒症状となり急性腎不全を起こす可能性があるため、与えないでください。特に皮のほうが果肉より危険。最悪の場合は死んでしまうこともあります。
レーズンやぶどうジュースなどの加工品も生のぶどう同様、食べさせないこと。うっかり落としたレーズンを誤食したりしないよう、注意してくださいね
皮・葉・果肉に含まれている成分が中毒を引き起こし、嘔吐や口腔内の炎症に繋がります。
また葉や皮に触れるだけでも皮膚炎を起こす場合がありますので、猫が触れる場所に置いておかないようにしましょう。
パパイヤに含まれるパパインという酵素によってアレルギー反応を起こし、口腔内の炎症などを起こすことがあります。重症の場合は呼吸困難になることも。
特に、完熟前の青パパイヤにはパパインが多く含まれていますので、猫が口にしないように注意してください。
マンゴーも猫にとっては危険です。マンゴーはウルシ科の植物なので、かぶれなどのアレルギー症状を引き起こす可能性があるのです。
口腔内にかゆみや炎症を起こしたり、嘔吐・下痢や呼吸困難になることもあるので、食べさせないほうが良いでしょう。
人間よりずっと小さな猫にとって、果物の適量は想像以上に少ないですよね。そこでおすすめなのは、フードのトッピングとして与える方法。水分補給や便秘の予防だけでなく、食欲がないときやフードに飽きてきたときにも効果的です。
くれぐれも適量を守り、アレルギーや肥満に気をつけながら、お楽しみのひとつとして果物を活用してみてくださいね。