愛猫を抱っこしようとして嫌がられたことはありませんか。もともと猫はあまり抱っこが好きではありませんが、抱っこなどのスキンシップを増やすことで病気やケガの早期発見につながるというメリットも。今回は、猫を抱っこするときのポイントを解説します。
もくじ
マイペースで自由奔放な性格の猫にとって、抱っこは動きが制限されて束縛された状態。残念ながら、猫は抱かれることを基本的に好みません。
ネコ科の野生動物が他者に抱き抱えられている場面を見ないように、猫にとって「抱っこされること」は自然なことではないのです。
愛猫の抱っこには次のようなメリットもあります。
愛猫の健康と安全のためにも、早い段階から抱っこに慣れさせることをおすすめします。
子猫の場合、コミュニケーションの一環として早期から抱っこに慣れさせましょう。愛猫が甘えているときなどに抱っこを取り入れてみてください。
成猫の場合は自我が確立しているため、抱っこが困難な場合もあります。焦らずに少しずつ、信頼関係を築きながら距離を縮めていきましょう。
無理やりの抱っこや、不安定な抱っこは、愛猫の落下やケガにつながります。次のポイントをおさえて抱っこに慣れてもらいましょう。
信頼関係ができていない相手や不意なタイミングでの抱っこは猫も驚いてしまいます。まずは猫をリラックスさせましょう。
など、信頼関係を構築し猫との距離を少しずつ縮めていきましょう。自分の時間を楽しんでいる猫を捕まえて、無理やり抱っこしないよう注意してください。
猫がリラックスしてきたら、膝の上に乗せてみましょう。
などをして膝の上に誘導してみましょう。
猫にとって飼い主さんの膝の上が「安全な場所」「居心地のよい場所」だと理解してもらうことが大切です。抱っこしようと急に持ち上げず、自分から膝に乗るのを待ってください。
猫が膝の上でリラックスモードに入ったら、抱っこにチャレンジしてみましょう。
1)片方の手を猫のわきに入れて胸を支えながら持ち上げ、もう片方の手(腕)でお尻と後ろ足を包むように支える
2)猫の体が不安定にならないように体を密着させ、腕と体全体でしっかり包む
お尻と後ろあしが安定すれば、前あしはもう片方の腕や胸・肩など、猫が好きなところに置かせてあげて大丈夫です。
猫がすり抜けて落ちたり怪我をしたりしないよう、
とステップアップしていきましょう。抱っこに慣れていない猫を、人が立った状態で抱っこをするのは危険です。
次のような抱っこは、猫との信頼関係を大きく壊し、双方に怪我などの不利益をもたらす可能性があります。
猫の安全を確保するために必要なケースを除き、気持ちを尊重した上で抱っこするようにしましょう。
猫を人の赤ちゃんのように仰向けに抱っこすると、弱点であるお腹をさらし、足が宙に浮いている不安定な姿勢になるため嫌がります。猫の足がブラブラせず、自分で伏せているような腹ばいに近い姿勢で抱っこしましょう。
抱っこから抜け出したり暴れたりしなくても、次の様子が見られたら猫が抱っこを嫌がっている可能性があります。すぐに解放してあげてください。
ここで抱っこし続けようと無理強いすると、抱っこがますます嫌いになりかねません。猫に嫌な気持ちをさせずに済むように、猫が抱っこを嫌がっているサインを知りましょう。
また、落ちそうになると猫は反射的に爪を立てます。抱っこに自信がないうちは、長袖や厚手の服を着て飼い主さんの肌を守りましょう。
猫が抱っこを嫌がる理由も探ってみましょう。思わぬ原因があるかもしれません。
成長してから抱っこを嫌がるようになった場合は、
など、トラウマが原因となっている可能性があります。しっかりとコミュニケーションを重ね、地道に信頼関係を作っていきましょう。
気分屋な猫は、遊びに夢中になっていたり、気持ちよく眠っていたりするときは、抱っこを嫌がります。また神経質な猫は、気になる音がしたり、知らない人がいたりすると落ち着かず、逃げる場合があります。
猫が抱っこを許容してくれる気分になるまで、寄ってくるのを待ちましょう。
飼い主さんが抱っこに慣れておらず、猫の姿勢が不安定なることで抱っこを嫌がるケースもあります。前に述べたように、膝の上での安定した抱っこからマスターしましょう。
猫は人よりも優れた嗅覚をもっているため、人にとってはいい香りでも、猫が嫌がる場合もあります。
などのにおいに気をつけましょう。猫の好きなにおいをつけて抱っこを誘導してみるとよいかもしれません。
いつもは抱っこさせてくれるのに、急に嫌がるようになった場合は、ケガや病気の可能性を考えましょう。触られるのを嫌がる部位がないかを確認し、おかしいと思ったらかかりつけの動物病院に相談してください。
独立心が強く、ベタベタするのが苦手な性格の猫もいます。こういうクールな猫の場合は、短時間でも抱っこをさせてくれたら「ありがとう」と感謝して、その性格を尊重しましょう。
神経質で臆病な性格から抱っこを避ける猫もいます。こちらの場合は時間をかけて少しずつ距離を縮めれば、抱っこを好きになってくれるかもしれません。さまざまな作戦を駆使して、猫の信頼を勝ち取りましょう。
愛猫に心当たりがあったら、ひとつずつ解決してみてください。
抱っこ嫌いの猫には、スキンシップに慣れてもらうところから始めましょう。猫がリラックスしているときに隣に座り、優しく声を掛けたり撫でてあげたりして、飼い主さんが安心できる存在であることを伝えます。
その上で、前述の「猫が抱っこに慣れるための準備」「猫の正しい抱っこの方法」を参考に、膝の上を好きになってもらい、少しずつ抱っこに挑戦しましょう。
毎日短時間ずつ反復していき、少しずつ抱っこの時間を伸ばし触れ合うことを習慣づけてください。なかなか長時間抱っこできるようにならなくても、こういった時間の蓄積は確かな信頼関係に繋がります。
抱っこの練習プロセスだけでなく、猫の行動パターンや習性・習慣に注目することも重要です。1日のうち、どの時間帯は1匹でいることを好み、どの時間帯は飼い主さんと一緒にいることが多いか、どのコミュニケーション方法が一番リラックスしているのかなど、こまめにチェックしてみましょう。
猫を抱っこしてあげるのではなく、抱っこをさせてもらっているという気持ちを持ち、猫の身になって接してあげてください。
寒い季節や気温が低い時間帯は、抱っこのチャンスです。寒がりの猫にとって、安心して暖を取れる飼い主さんの腕の中は魅力的な場所。お風呂上がりで飼い主さんの身体が温まっているときなどに挑戦してみてください。
抱っこのメリットとしてヘルスチェックを挙げました。愛猫を抱っこする際は、次の点にも注意するとよいでしょう。
体がふっくらしてきた、ゴツゴツ骨が触れるようになってきたなど、日々抱っこをすることで、体格や体重の変化に気づくことができます。飼い主さんが猫を抱っこした状態で体重計に乗れば、より詳細な体重の変化を記録できるでしょう。
抱っこの姿勢を変えたり降りたりする際に、猫が爪を立てることがあります。飼い主さんの洋服に爪が引っかかったり、腕に傷ができたりするようなら、猫の爪が伸びていないかチェックしましょう。
爪の伸び過ぎは外傷や骨折の原因にもなる場合があるため注意してください。
しなやかで、柔軟なイメージのある猫ですが、高齢猫の多くは関節炎を患っているという報告があります。
といった場合は、関節炎で痛みを感じている可能性があります。無理な姿勢は関節炎を悪化させることもあるため、抱き方に注意してください。
抱っこした状態で隈なく体を触れば、外傷や皮膚炎、できものに気づけます。
など、愛猫の皮膚疾患を早期に発見し、対処しましょう。
猫の抱っこには、さまざまなメリットがあります。飼い主さんと愛猫のスキンシップはもちろん、健康や安全のためにも安全な抱っこをマスターしてください。