犬がしっぽで感情表現をすることは、よく知られていますよね。では猫のしっぽはどうなのでしょうか?猫はクールでポーカーフェイスな生きもの…と思いきや、実はしっぽで色々な感情を表現しているのです。
もくじ
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「尾椎(びつい)」と呼ばれる小さな骨が並んでいる猫のしっぽ。尾椎の数はしっぽの長さによって異なりますが、25~30cmほどある猫の場合はおおよそ18個前後あります。
尾椎は脊椎(せきつい)とつながっていて、先端まで神経が通っています。しっぽの先を触っただけでも怒られたりするのは、その証拠ですね。
すらりと美しかったり、短く愛らしかったりと、猫のしっぽは大きな魅力のひとつ。
単に見た目の良さだけでなく、しっぽはとっても実用的なものなのです。
猫にとってしっぽの最も重要な役割は、バランスの保持。高い木の上や塀の上を歩くときなど、しっぽをゆらゆらと振って体のバランスを取っているのです。上り下りをするときや暗い場所を歩くときにも、しっぽが大活躍。
高速で走る猫科の仲間・チーターは、しっぽを大きく振ることで、急激な方向転換をすることができますよね。
2番目の役割は、防寒具。寒いときに猫は丸まりますが、このときにしっぽをマフラーのように使って、顔をおおっているのです。
3番目の役割は、マーキング。しっぽの付け根には臭いを発する器官である「臭腺」があり、猫はそこをこすりつけてマーキングします。
しっぽが長い猫が飼い主さんにしっぽを絡ませるときは、「この人は自分のもの!」とマーキングしているのですね。
そして最後の役割が、コミュニケーションツール。つまり、しっぽで感情表現をすることで、猫同士でコミュニケーションを取っているのです。
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それではまず「嬉しい!」「楽しい!」といった、ポジティブな感情を表現しているときのしっぽを見ていきましょう。
嬉しい気持ちや甘えたい気持ちの表れです。元は子猫が母親におしりをなめてもらうときのポーズ。大好きな相手に甘えたいときや、仲良しの猫同士が挨拶するときに行います。
立てたしっぽを震わせていたら、さらにご機嫌なしるし。嬉しくて興奮している仕草です。このポーズで近寄ってきたら、たくさん撫でたりして甘えさせてあげましょう。
興味があるものを見つけたときや、何か考えごとをしたりして集中しているときの仕草です。獲物を狙っているときにこの仕草を見せることも。
どちらにせよ、邪魔しないでそっとしておいたほうがいいタイミングです。
リラックスしているときのポーズです。このときの猫はとても機嫌がよく、ゆったりした気分でいます。
遊びたい・甘えたいタイミングではないので、声をかけたりせずにほうっておきましょう。
前足のほうまでしっぽを体に巻きつけている姿も、リラックスしているしるしです。
前足がとっさに動かせない状態でもOKということは、そこが安全な場所だと判断している証拠。このときも構ったりせず、そっとしておいてくださいね。
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続いては、「怒っている」「イライラしている」といった、ネガティブな気持ちのときのしっぽを見ていきましょう。
これは説明不要なほど有名な感情表現ですね。ずばり、敵と遭遇したときの「怒り」「威嚇」です。
体を少しでも大きく見せ、相手を圧倒しようとする気持ちの表れ。しっぽだけでなく、全身をふくらませるときもあります。また、驚いたときや怖いときにこうなることも。
リラックスしているときのゆったりした動きではなく、激しい動きの場合は「イライラ」しているサイン。
犬が嬉しいときのしっぽ、と言えばイメージしやすいのではないでしょうか。猫の場合は真逆なので要注意。特に床にしっぽをバンバン叩きつけていたら、相当イライラしています。
突然攻撃することもあるので、イライラの原因がわかる場合は取り除いて。わからない場合は、触らぬ神に祟りなし。そっとしておいてあげましょう。
しっぽを逆立てるのとは逆に、体をできるだけ小さく見せようとしている仕草。つまり「恐怖」のポーズです。
しっぽだけでなく、耳を伏せてうずくまるような姿勢になることも。また、しっぽはだらりと地面につけている場合もありますよ。
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猫同士はニオイなども使ってコミュニケーションしますが、さすがに人間には難易度が高いですよね。そこで、しっぽ以外に猫の感情が表れやすい部位をご紹介します
目の中でも注目してほしいのは「瞳孔」。
猫の瞳孔は暗いところで大きく、明るいところでは小さくなりますが、「緊張」「恐怖」といった感情を感じていると昼間でも大きく丸くなります。ネガティブな感情だけでなく「好奇心」「興奮」で大きくなることも。
平常心のときは中くらいの大きさ、「怒り」「威嚇」のときは細くなります。
「好奇心」で何かが気になっているときは、音がよく聞こえるように、耳を前向きにピンと立てます。
「不安」「恐怖」のときは後ろ向きに。臨戦態勢のときも、耳を守るためにやや後ろに倒し気味になるようです。通称「イカ耳」と呼ばれています。このときの耳の角度や向きは、そのときの精神状態や相手との力関係などによって様々です。
アンテナであるヒゲも、おおよそは耳と同じように動きます。興味津々のときは前向き、怖いときや防御態勢のときは後ろ向き。ただし、攻撃的なときは、耳は伏せますがヒゲは前向きになるようです。
個体によって多少の違いはありますが、ここでご紹介した代表的な「猫語」は、多くの猫に通じるもの。
ぜひこれをヒントに、愛猫の感情をより読み取って、コミュニケーションに役立ててみてくださいね。
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