猫と暮らす上で悩みの種になりやすいトイレ。お家のスペースや飼い主さんのライフスタイルによって猫のトイレ事情はさまざまかと思います。しかし、トイレは愛猫の健康管理にとって欠かせないもの。猫にとって理想的なトイレがどのようなものか、泌尿器トラブルに気づくためのポイントなどをお話しします。ご家庭のトイレや愛猫の様子と照らし合わせてみてください。
もくじ
尿や便の様子を日々確認していくことは、愛猫の健康状態を把握するためにとても重要なことです。愛猫にトイレを使用してもらうためのポイントをお伝えします。
猫は本能的に砂の上で排泄し、その上に砂をかけるという行動をします。猫が安心できる場所にトイレがあれば、あまり人が手出しせずともトイレを使用してくれることがほとんどです。
上手にトイレを使用してくれたら、感謝の気持ちをこめておやつを1粒あげてみてもよいでしょう。
ただし、保護猫など飼育環境が悪いなかで生活していた猫はトレーニングに時間がかかることもあります。その場合、頻繁なトイレへの誘導はストレスになり泌尿器トラブルの原因にもなりえます。
今回の記事を参考に、快適なトイレ環境を整えてあげながらゆっくり見守りましょう。
周囲の匂いを嗅いで回るなど、子猫が排泄場所を探す素振りをしているときに、トイレ砂の上に誘導してあげましょう。排泄場所として気に入ってくれれば、何度も誘導せずにトイレを使用できるようになります。
トイレを教えるために、前回トイレ以外でした尿のついた紙をトイレに入れておく飼い主さんもいらっしゃいます。上手くいくこともありますが、排泄物が残っているとトイレを使用しない猫も多いので、あえて匂い付けをする必要はありません。
トレーニング中の失敗の場合は、徹底的に消臭しましょう。人が感じられないレベルでも匂いが残っていると、マーキングとして繰り返し同じ場所に排泄する可能性があります。
匂いのついたものの素材にもよりますが、熱湯消毒や塩素系消毒液などを使ってできる限りの消臭をします。洗えないなど消臭が難しいものは処分も検討してください。
消毒液を使用した場合、猫が吸い込んだり猫の体に付着したりすることを防ぐために、しばらく立ち入らせないよう注意しましょう。
トイレ以外で排泄しているところを目撃したときや、排泄のあとを見つけたときなどに大声をあげることはやめましょう。猫にストレスを与えてしまい、排泄自体を極限まで我慢して病気を引き起こす可能性があります。
何事もなかったかのうように、静かに掃除をしてあげましょう。
1個のトイレが使用済でも、未使用のきれいなトイレを利用できるよう、猫のトイレは「猫の頭数+1個以上」を目安にしましょう。お家のスペースが許す限りトイレ箇所を増やして問題ありません。
ただし、いくらトイレの数が多くても清潔に保てていなければ本末転倒です。スペースと掃除の頻度から、愛猫のトイレの数を考えてあげましょう。
狭い場所にあると匂いがこもってしまいます。トイレの場所は、風通しがよく、排泄時に人の視線が気にならない場所を選びましょう。
しかし、排泄時にいつもと違う行動をしていないか確認することも大切です。猫がゆったり使用できて飼い主さんの目が届く、リビングの隅などがおすすめです。
また、使用済みのトイレが横にあると、未使用のトイレでも利用したくないと感じる可能性があります。トイレの個数を増やす場合は、横に並べず別の場所を検討しましょう。
多頭飼育の場合、トイレの近くにほかの猫がいて利用できないこともあります。猫がそれぞれ利用できるトイレがあるとよいでしょう。
猫の排尿は1日2~3回、排便は1日1回が理想です。健康状態や水分摂取量によって回数の増減があります。普段と同じリズムかトイレをすべて確認し、正確な排泄回数を把握しましょう。
あまり使ってもらえないトイレは、愛猫が気に入っていない可能性があります。
落ち着きにくい場所だったり、長年使用していてトイレに臭いが染みついていたり、トイレの形や大きさ、猫砂が気に入らないなどさまざまな理由が考えられます。トイレの状態を少しずつ変えて、利用してもらえるよう工夫してみてください。
ただし、いきなり変更することもストレスになります。「徐々に」を意識してください。
愛猫がトイレを使用する際、次のような行動をしていませんか?
こうした様子がある場合、「使いたくない」「一刻も早く立ち去りたい」「できるだけ触りたくない」といった気持ちが隠れている可能性があります。日頃から、愛猫が排泄している様子をよく観察しましょう。
ただし、見られることにストレスを感じ、排泄を我慢する猫もいます。猫に気づかれないようにそっと観察してください。
いつもと違う様子はもちろん、ほかの猫と比べてトイレの使用方法が特徴的なときは、トイレの不満を伝えてくれているのかもしれません。
理想のトイレについてお話しします。すべて理想どおりのトイレにすることは、お家の環境やライフスタイルから難しいこともあります。改善できるポイントを取り入れていただけると嬉しいです。
猫は、トイレに入って砂を掘り、くるっと方向転換をして排泄します。この動きをスムーズにできる大きさである、「猫の体長×1.5倍」のサイズが理想的です。
砂を掘っても底が見えてこない深さが理想的です。猫用のトイレだけでなく、衣装ケースのような、大きくて深い容器に猫砂を入れてもよいでしょう。
ただし、深くても匂いがこもりやすい構造のトイレは、ストレスにつながる場合があるため注意してください。
猫のトイレは、お手入れしやすい形状のものを選びきれいに保ちましょう。
お手入れは、愛猫が排泄した際に、すぐに片付けてあげられるのが理想的。排尿1回分ずつ固まったものをスコップで取り除けば、1回の排尿量を把握することもできるでしょう。
排泄の都度こまめに取り除いてあげる必要があるため手間はかかりますが、トイレ本体を丸洗いして砂を交換しやすいというメリットもあります。
また、2層式トイレのように排便だけをその都度取り除き、排尿は数日分まとめて片付けるシステムトイレと呼ばれるようなものもあります。
毎日のお手入れはこちらのタイプが簡便ですが、パーツが多かったり、網目があったりするため洗浄に手間がかかります。定期的な丸洗いを先延ばしにして、トイレ本体が匂うことがないよう注意して利用しましょう。
病院で尿検査をする際、事前に自宅で採尿する場合もありますが、2層式タイプは採尿がしやすいです。ただし、網目をしっかり洗浄して清潔な状態で採尿しないと正しい検査結果を出せないことがありますので注意してください。
オープンタイプやドーム型、巣穴のように飛び込んでいくものなど、猫のトイレにはさまざまな形状があります。愛猫の好みを探してあげましょう。
ドーム型でふたがついていると匂いがこもる原因になるため、トイレの形状はオープンタイプがおすすめです。オープンタイプのトイレでも、狭い空間に置いていたり猫の頭上に板があったりすると、圧迫感からストレスを感じさせてしまう可能性があるため注意しましょう。
また、高齢になってくると、段差を乗り越えられずにトイレを利用できなくなるともあります。愛猫の状態を観察しながら、随時、適切なトイレを選んであげましょう。
猫砂にもさまざまな種類があります。相性のよい猫砂を選びましょう。
また、猫砂を突然変更するとトイレを使えなくなる猫もいます。猫砂を変える場合は、新しいものと古いものそれぞれを入れたトイレを用意し、その都度、猫に選んで使ってもらいながら切り替えることが理想的です。
トイレ本体を変更する際も、2週間は両方置いておきましょう。両方使用してもらいながら新しいものをしっかり使ってくれるようになったら古いものを撤去します。
「鉱物系」といわれる猫砂は、細かくて重くもっとも自然の砂に近いです。そのため、保護猫など外での生活経験がある猫は、鉱物系の砂を使ってあげるとスムーズにトイレを使用してくれる傾向があります。
粒が細かい砂を好む猫が多いですが、飛び散りやすいため掃除は大変です。
紙・木材チップ・おからなど、さまざまな種類があります。香りがついていないものを使用しましょう。木材チップは排尿の際固まらないものがほとんどなので2層式タイプのトイレでの使用がおすすめです。
愛猫が粗相をした際、次の点に当てはまるかどうか考えてみてください。
粗相に加えて、頻繁にトイレに通っていたり排尿時に泣いていたりする場合、泌尿器トラブルを抱えている可能性があります。トイレの工夫をあれこれ試す前に、かかりつけの動物病院で尿検査を実施してもらいましょう。
状況に応じて、レントゲン撮影や超音波検査、採血が必要になることもあります。
トイレを上手に使えていた猫が粗相をした場合は、かかりつけの動物病院に相談し病気でないことを確認した上で、トイレの改善に取り組んでください。
猫はストレスにさらされると、トイレ以外で排泄することがあります。
など、ストレス源がないかよく観察しましょう。多頭飼育の場合、トイレの使用やトイレに行くことを邪魔する猫がいることもあります。
などの理由から、トイレを使用したがらず失敗することもあります。
今回お話しさせていただいたポイントを確認しながら、トイレの改善をゆっくり実施してください。
粗相や頻尿など猫のトイレトラブルは、病気のサインであることが多いです。異常があった場合は安易に「ストレス」「いやがらせ」と結論付けずにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
尿検査など異常がないかしっかり診察してもらった上でお家でもできる対策を考えていくことが大切です。
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