猫を飼っている家には必ずと言っていいほどあるキャットタワー。実はこれ、猫にとって一石二鳥にも三鳥にもなる、メリットだらけの素晴らしいアイテムなのです。今回はキャットタワーのメリットと選ぶポイントについてお話します。
全国各地に「ドッグラン」はあるけれど
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大きな公園や高速道路のサービスエリア・パーキングエリアなど、最近は全国各地にドッグランができていますね。犬同士が交流したり、思いっきり走り回ったりと、とても楽しそうな空間です。しかし、「キャットラン」というのは、あまり聞きませんよね。これは何故でしょう。
一つ目の理由は、猫は縄張りを持つ動物だということ。つまり、知らない猫に対しては基本的に警戒します。犬は元々群れで暮らしていた動物ですから、初対面同士でも一緒に遊ぶという場が成り立つのです。
二つ目の理由は、猫は水平運動よりも上下運動が好きだということ。広い場所を思いきり駆け回るより、高いところに上ったりジャンプしたりすることを好むのです(もちろん、個体差はあります)。
どちらも人間と一緒に暮らしている動物ですが、その性質には大きな違いがあるのです。
猫の運動には「キャットタワー」がぴったり
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犬は散歩やドッグランで運動できますが、室内飼いの猫は行動範囲が狭いので運動不足になりがち。運動不足だと肥満やストレスの元になったり、筋力不足で足腰が弱ってしまったりするので、しっかり運動させてあげたいですよね。
そんなときにおすすめなのが、キャットタワー。狭いお部屋や高さのある家具が少ないおうちでも思いきり上下運動を楽しめる上、自分だけの落ち着ける居場所を持つこともできます。
猫は本能的に高いところが好き。外敵から身を守り、狩りをするのに高い場所は有利です。他の猫より優位に立っていることを示す意味合いもあります。キャットタワーはこういった欲求も満たしてあげられるので、運動不足だけでなくストレス解消にも役立ちます。
また、多くの方がお悩みの「爪とぎ」にもキャットタワーは効果的。多くのキャットタワーには爪とぎがついています。壁や柱で爪とぎをする「立って爪とぎしたい派」の猫も、これなら気に入ってくれるかもしれません。
キャットタワーに登るとガラッと視界が変わるのも、猫にとっては大きな魅力です。特に窓際だと外がよく見えるようになり、人や車、鳥たちが行き来する様子はいい刺激になります。退屈は猫にとってストレスの元。キャットタワーがあれば、きっとお留守番の間も退屈せずにすごせますよ。
安定性?省スペース?キャットタワーの種類とは
(Africa Studio/shutterstock)
キャットタワーは大きく分けて「据え置き型」と「つっぱり型」の2種類に分けられます。
1)据え置き型
つっぱり型に比べて設置の手間が少なく、模様替えなどのときに移動しやすい据え置き型。比較的低めなので子猫やシニア猫でも安心です。中でもコンパクトなものは、タワーデビューの子猫にぴったり。キャットウォークの足場として併用するのもいいですね。
据え置き型は頑丈に作られている商品が多いのですが、時折安全性が低いものもあるので、選ぶときは接地面の広さや底の厚みなどをチェックしましょう。ぐらつきがあると危険ですし、猫も不安がって遊んでくれません。重量があり安定しているものなら、大型の猫にも安心です。
2)つっぱり型
床と天井につっぱって支えるつっぱり型の一番のメリットは、何といってもコンパクトなこと。一人暮らしの室内にも無理なく設置できます。天井近くまで移動できるので、若く活発な猫の木登り本能や高いところを好む猫の本能を満たしてくれるでしょう。
ただし、据え置き型と比べると少々設置や移動に手間がかかります。週に1回は、ぐらつきがないかチェックすることを忘れずに。大型の猫の場合はつっぱりが緩みやすいので、小柄な猫におすすめのタイプです。
「うちの子」に合ったキャットタワーの選び方
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素材や高さなど、キャットタワーのバリエーションは豊富です。いくつかのケースをご紹介しますので、キャットタワー選びのヒントにしてみてください。
【CASE1】元気いっぱいだけど吐き癖がある若い猫
活発な猫にはぜひ高さのあるキャットタワーで、たくさん運動してもらいましょう。柱が複数あるタイプだと、縦方向だけでなく横方向の運動もできます。
材質は起毛素材などの滑りにくいものが安心ですが、吐き癖がある猫の場合、ハウス部分が木でできている商品がおすすめ。ハウスやトンネルなど掃除が必要なパーツが低い位置にあると汚れをチェックしやすく、掃除もやりやすいですよ。
【CASE2】最近はあまり遊ばなくなったシニア猫
キャットタワーは遊び場だけでなく、猫にとって落ち着ける居場所にもなります。シニア猫にはくつろげるスペースが多く、高さを抑えたキャットタワーがよいでしょう。
足腰も弱ってきますので、段差が低い階段タイプがよいです。また、棚板は広めだと安定感があるので安心です。もし落下が心配であれば、ベッドや棚板に縁のあるタイプを選んだり、タワーの周囲にカーペットやマットを敷くなどの対策をするとよいでしょう。
【CASE3】遊びたい盛りのやんちゃな子猫
小さい頃は低めのタワーがおすすめですが、成長してある程度高い場所も平気になってきたら、高さがあるものがよいでしょう。おもちゃやロープがついている商品ならたっぷり遊べるので、お留守番の間も楽しく過ごせそうです。
また、猫は同じ場所で爪とぎを繰り返す習性がありますから、家具などで爪とぎを覚えてしまう前に爪とぎ付きのキャットタワーを設置すると、被害を予防できるかもしれません。
【CASE4】大柄な猫たちを多頭飼い
安定性を最重視して、重量のある据え置き型を選びましょう。縄張り争いが起きないよう、ベッドやハウスが複数あって、同時に全員がくつろげるスペースを確保できるものがよいです。また柱・通路が複数あって様々なルートで遊べると、遊びの中でのトラブルも起こりにくいでしょう。
ベッドや棚板のサイズも要チェック。のびのび過ごせるように、ゆとりのある大きさのものを選んであげてくださいね。
キャットタワーは置き場所も重要
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1)人目のある場所
キャットタワーの置き場所におすすめなのは、猫にとって馴染みがあり、飼い主さんの滞在時間が長いリビング。目が届きやすいので、人も猫も安心して過ごせます。
2)窓際
扉や家具の配置によりますが、窓際に設置すると猫が外の景色を楽しめるので、キャットタワーを気に入る場合が多いです。晴れていれば日向ぼっこもできるので、お気に入りスポットになることでしょう。
ただし、カーテンのそばに設置すると、飛び移ることがあるので注意してください。猫が窓の外に出てしまわないよう、ロックやフェンスなどの対策も忘れずに。
3)高い家具の隣
また、登るのは得意でも降りるのが苦手な猫は多いもの。本棚やタンスなど、猫がよく登る高い家具がある場合は、その家具の隣に置くとステップ代わりになって安心です。寝室に置く場合は、飼い主さんの身の安全のためにも、ベッドにダイブしやすいところは避けることをおすすめします。
おわりに
飼い主さんが選びに選んだキャットタワーでも、警戒心が強いとなかなか遊んでくれないことも。「1ヵ月ほどで慣れてくれた」「飼い主さんがいない時間に遊んでいた」というケースもありますので、気長に様子を見てみてくださいね。
お気に入りのブランケットなどをタワーに置いてみたり、飼い主さんが頻繫にタワーに近付くようにしたりするのも効果的でしょう。
猫にとってたくさんのメリットがあるキャットタワー。ぜひ色々とリサーチして、愛猫とあなたにぴったりのキャットタワーを見つけてくださいね。