【獣医師監修】犬や猫にコーヒーは厳禁!意外と怖いカフェイン中毒
2021.07.19 作成

【獣医師監修】犬や猫にコーヒーは厳禁!意外と怖いカフェイン中毒

獣医師

堀江志麻

堀江志麻

犬や猫にコーヒーを飲ませている人はいないと思いますが、テーブルに置いたカップの中を愛犬や愛猫が舐めてしまうことは考えられますよね。それほどコーヒーなどの嗜好品は私たちにとって身近なものです。

ですが、コーヒーなどに含まれる「カフェイン」が犬や猫に与える影響は怖いものがあります。今回はこのカフェインについて解説していきます。

もくじ

    カフェイン中毒って何?

    【獣医師監修】犬や猫にコーヒーは厳禁!意外と怖いカフェイン中毒

    (Chaithawat Samdaengphai/shutterstock)

    カフェイン中毒とは、コーヒーやチョコレートなどに含まれるメチルキサンチンといわれる化合物の過剰摂取により生体に様々な症状を生じる中毒です。

    メチルキサンチンといわれる化合物にはカフェインの他に、テオブロミン、テオフィチンなどがあり、主に、コーヒーにはカフェイン、チョコレートにはテオブロミンとカフェインが含まれています。

     

    犬や猫がコーヒーを摂取してカフェイン中毒を発症した場合、どんな症状が出るの?

    犬や猫がコーヒーを摂取してカフェイン中毒を発症した場合、どんな症状が出るの?

    (GK1982/shutterstock)

    カフェインなどのメチルキサンチンを過剰摂取することにより、次のような症状が見受けられることがあります。

    • 急性の消化器症状:
      嘔吐や下痢などが起こり、時に血便なども。食欲がなくなる子もいます。
    • 循環器症状:
      呼吸速拍、頻脈などが起こり、心疾患がある子は倒れてしまうこともあります。
    • 神経症状:
      異常な興奮や痙攣、発作などを引き起こします。それに伴い高体温は一般的に見受けられます。

    症状の程度は摂取したカフェイン(メチルキサンチン)の量や個体によって様々です。ほとんど症状を出さない子もいれば、非常に重篤な症状を出し、命に関わることもあります。

    摂取後30分後くらいから症状が現れ、48時間は注意が必要です。

    犬や猫がどれくらいカフェインを摂取したら危険なの!?

    犬や猫がどれくらいカフェインを摂取したら危険なの!?

    (Rasulov/shutterstock)

    一般的に言われている犬猫などの動物にとって危険なカフェイン量は以下の通りです。

    • 体重1kgに対し、20mg摂取で軽度の症状。
    • 体重1kgに対し、40~50mgでは重篤な症状。
    • 体重1kgに対し、60mgでは痙攣が生じる。
    • 体重1kgに対し、100~200mgで半数が死亡。

    では実際にコーヒー1杯には、どのくらいのカフェインが含まれているのでしょうか?

    コーヒー1杯(約100ml)にはカフェインが60mg含まれています。

    体重3kgの犬や猫がコーヒー1杯飲んで『軽度の症状』なので、実際には重篤になるほど飲むとは考えにくいですが、意外とミルク入りの甘いコーヒーであれば喜んで飲んでしまう子たちもいるのでコーヒーのカップなどをそのまま置いておかないように気をつけましょう。

    実はコーヒー以外にもカフェインを多く含む飲み物

    実はコーヒー以外にもカフェインを多く含む飲み物

    (yangtak/shutterstock)

     カフェインと言えば、真っ先に思いつくのがコーヒーかもしれませんが、実はコーヒー以外にもカフェインを含む飲み物はたくさん存在します。中にはコーヒーよりもカフェイン量が2倍以上含まれるものもあります。

    コップ1杯(約100ml)に含まれるカフェインの量は以下の通りです。

    • 緑茶(玉露) 160mg
    • コーヒー 60mg
    • 紅茶 30mg
    • 緑茶(煎茶) 20mg
    • ウーロン茶 20mg
    • ほうじ茶 20mg
    • ココア 30mg

    日本茶のカフェイン量は思いのほか多いのです。飼い主さん中には犬とお出かけした際に、自分の飲んでいるペットボトルのお茶を知らずにあげている方もいるので気を付けましょう。

    コーヒを挽いたあとのカスやお茶葉もゴミ箱をいたずらしないように要注意です。

     

    もし飲んでしまったら!?対処法は?

    もし飲んでしまったら!?対処法は?

    (Chaithawat Samdaengphai/shutterstock)

    もし、「かなりの量を飲んでしまった!」ということであればすぐにかかりつけの病院に連れて行ってください。2時間以内であれば催吐(さいと)処置をおこなって吐かせるのも一つの方法です。

    また、症状が出ている場合、危険と判断した場合には胃洗浄なども行われます。症状がほとんどないようであれば、点滴をしたり、薬効成分を吸着させるような薬を使用することもあります。

    愛犬・愛猫が誤飲しない環境づくりを心がける

    予防としては、私たち飼い主が気をつけることが何より大事です。特に、猫の身体能力はとても優れていますので、ここなら届かないと思っている場所でも簡単に届いてしまいます。

    また、犬は私たちが『捨てた』と思ったゴミ箱から見事に探し出してくる嗅覚の持ち主です。しっかりと対策をして犬や猫たちが誤ってコーヒーやカフェイン入りの飲み物を飲んだり、食べ物を誤食しないように注意してくださいね。

    著者・監修者

    堀江志麻

    獣医師

    堀江志麻

    プロフィール詳細

    所属 往診専門動物病院「しまペットCLINIC」院長

    略歴 1979年 山口県宇部市に生まれる
    1986年~1992年 ドイツ・デュッセルドルフに滞在
    1998年 北里大学 獣医畜産学部・獣医学科に入学
    2004年 獣医師国家資格取得
    2004年~2007年 神奈川県 横浜市の動物病院に勤務
    2008年~2010年 同動物病院の分院(東京都大田区)の分院長を務める
    2010年 子供を出産し、一時お休み
    2011年 千葉県と東京都の2つの動物病院で勤務
    2011年11月11日 往診専門動物病院、しまペットCLINIC 開院 現在、東京都内を中心に千葉県、神奈川県にて往診をおこなっている。

    資格 日本小動物歯科研究会(レベル1認定講習・実習 終了)
    日本メディカルアロマテラピー協会(JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト)
    日本ホリスティックケア協会(日本ホリスティック協会認定ホリスティックケア・カウンセラー)

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