猫ちゃんの顎下を見たことがありますか? 猫ちゃんの口のすぐ下(顎下)をちょっと下から覗いてみてください。この部分に黒いカスのようなものがついている子はいないでしょうか? 実はこれ、猫ちゃんに比較的よく見られる皮膚疾患で「猫ニキビ」や、「猫アクネ」「座瘡(ざそう)」とも言われます。
もくじ
(Yellowj/shutterstock)
猫ニキビは猫の顎下には大きな脂腺が分布しており、この部分の異常からくる皮膚疾患です。プツプツとした赤い湿疹のようなものができたり、黒い転々としたカスのようなものが皮膚に付着します。これは変色した黒い角化物が顎下の毛に付着したものです。
黒いカスは手で払った程度では取れません。進行すると、湿疹は膿をもった膿疱(のうほう)を形成することもあり、さらに進行すると、皮膚に穴があいてしまい、猫は痛みを伴うため、触られるのを嫌がるようになります。
猫ニキビは同居猫や人にはうつりません。感染性はないので安心してくださいね。
(Marco A M Oliveira/shutterstock)
明確な原因はわかっていませんが、グルーミング不足、毛穴の角化不全、脂質代謝異常、ストレスなどが考えられています。ドライフードよりもウエットフードを食べてる子に多いとも言われていますが、ドライフードでも猫ニキビを発症している子が多く見うけられます。
軽度であれば、症状もほとんどないですし悪化もないのですが、そこに細菌やカビが二次的に感染すると、皮膚炎は悪化し、さらに治りの悪い状態へと進行します。
また、アトピーやフードアレルギーなどを併発していると痒みが取れなかったり、皮膚の炎症が改善しないケースもあります。
(Helen Sushitskaya/shutterstock)
症状が軽度で、黒いカスのようなものが付いている程度で、猫も全く気にしていなようであれば無治療でも構いません。美観的な問題だけとなります。
もしこの時点で治療するのであれば、2−3日に1回シャンプー剤でしっかりと洗ってみてください。
ただし、顎下だけを洗うのは難しいため、オススメとしては、シャンプー液をボールに溶かし、コットンに含ませて顎下を優しく拭い、その後、ぬるま湯を含ませたコットンで数回シャンプー剤を落とす方法です。シャンプー剤が残らないように気をつけてくださいね。
それでも改善しない、もしくはすでに皮膚が赤くなっていたり、痛みを伴っているようでしたらかかりつけの病院に連れて行きましょう。
個々の症状に合わせた治療が必要となります。薬用抗菌シャンプー、消毒液、抗生剤の塗り薬・飲み薬など必要に応じて処方されます。
治療に反応しない、もしくは悪化していくようでしたら、全身の血液検査や、局部の細菌培養なども含めて追加検査にて確認する必要があります。痒みを伴う場合、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎の確認も必要となる場合もあります。
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一般的な猫ニキビであれば、適切な対応により基本的に予後は良好の場合が多いです。しかしながら、管理と治療は長期にわたり、猫によっては生涯治療が必要となるケースもあります。
治療の基本は、患部の洗浄、消毒、二次的な感染症の対策となります。最初にしっかりと治療を行えば1ヶ月以内に効果が期待できるので、必要なら必ず病院を受診してみてくださいね。