数ある猫種の中でも、とびきりの愛らしさと凛々しさを合わせ持つのがロシアンブルー。その美しい佇まいは、多くの人を魅了してやみません。そんなロシアンブルーの魅力と正しい飼い方についてお話していきましょう。
もくじ
ミステリアスな雰囲気の漂うロシアンブルー。特筆すべき特徴や性格を紹介します。
なんといっても目を引くのがまるでビロードのような被毛。この毛色は「アッシュブルー」とも呼ばれていて、ロシアンブルーの大きな特長でもあります。
その毛色はいわゆるグレーとも違う、独特の深い色合いが見受けられます。「ティッキング」といわれる、一本の毛にみられる異なった色の帯が濃淡をつくっているのです。
ショートヘアでありながらもダブルコートの豊かな毛並み、一本一本が細く、触ってみればわかりますが、その感触はまるでシルクのようです。
ロシアンブルーは「愛情深い猫」といわれています。一見クールな性格に見えますが実は人懐こい気質で、飼い主さんの後をどこへでもついていくこともあるほどです。活発に遊ぶことも大好きで、犬のような性格ともいわれています。
家族にとても忠実で、時には甘えたがることもあるため、撫でたり触ったりしながら、愛情を伝えることが必要です。スキンシップはとても大切だといえるでしょう。しつけに対する学習意欲も高く、初めて猫を飼う方でも扱いに苦労しません。
ただ、プライドが高く気まぐれなところもあり、飼い主さんを独占したい、という気持ちも強いようです。家族のなかでもお気に入りの人を決めて甘えたりします。神経質な面もあり、初対面の来客を連れてきたりすると、もともとの臆病さから隠れてしまったりするので、無理強いをしてストレスをかけないようにしましょう。
ロシアンブルーは、被毛の美しさをさらに彩るようなエメラルド・グリーンの瞳をしています。子猫の頃は透明で光の反射により青く見えますが、成長するにつれてグリーンに変化します。
目の色は、虹彩に沈着するメラニン色素によって決まるといわれています。メラニンとは紫外線から肌や目を守る働きをする色素です。日差しが強い国ほどメラニンの量が蓄積され、猫の目は黄色やオレンジなどの鮮やかで濃い色になります。
一方で、日差しが弱い国では透き通ったグリーンや薄いブルーの目を持つ猫が多い傾向です。ロシアンブルーは日差しの弱いロシアで生まれたため、透き通ったグリーンになったと考えられています。
エメラルド・グリーンの瞳、すっきりとした印象の三角形の頭。さらには口角が緩やかにカーブしていることから、微かにほほ笑んでいるように見える「ロシアンスマイル」はロシアンブルーのさらなる魅力を彩っているといえるでしょう。
ロシアンブルーの詳しい起源はわかっていません。名前の通り、ロシアで自然発生したという説や、ロシア皇帝の猫だったという伝説などがありますが、歴史は謎に包まれています。
ロシアンブルーの名はヨーロッパから世界へ広がったと考えられています。一時は個体数が減り絶滅寸前の危機に陥りましたが、ブリーダーの努力により血統の保存が行われました。
現在ではキャットショーなどでも注目度が高く、日本の猫の品種ランキングでも上位に入る人気者です。
ロシアンブルーと快適に暮らすために、飼い主さんが気をつけるべきポイントを解説します。
ロシアンブルーは活発に活動することを好みます。キャットタワーなどを用意し、体を動かして遊べる環境を作りましょう。飼い主さんが遊び相手になると特に喜びます。付き合う時間は1日5分〜10分程度で十分です。
体を飼い主にこすりつけたり、喉を鳴らしたりして近づいて来たときは、じっくり遊んであげましょう。
ロシアンブルーの被毛はアンダーコートとトップコートによるダブルコートで、短毛といえども抜け毛がたくさん出ます。コームなどでやさしくブラッシングしてあげてください。
ダブルコートで豊かな毛量のロシアンブルーは、水をはじくほど脂分が多い毛質です。この脂のおかげで毛並みの艶やかさが生み出されています。シャンプーは基本的には不要です。
定期的に洗いたい場合は獣医師に相談し、最低限の頻度で行いましょう。健康的なロシアンブルーは、ブラッシングだけで驚くような美しい被毛をキープできます。
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ロシアンブルーはほとんど鳴かず、鳴き声も小さいことから「ボイスレスキャット」とも呼ばれています。戸建でも集合住宅でも飼いやすい猫です。
ただし、どんな家でも安全対策が必要です。活発に動き回るうちに思わぬ事故やケガをすることは少なくありません。家の中に危険な場所がないか、破損が心配な物が置かれていないかを確認しておきましょう。
高齢期は特に転倒に注意します。よく登る場所にステップを設けるなど、足腰への負担を軽減する工夫を心がけましょう。
暑い時期は熱中症に注意が必要です。夏の外出時に家で留守番をさせるときは、冷房をつけたまま家を出ましょう。エアコンを適宜活用し、夏の室温は27℃前後、冬は23℃前後に調節します。
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キャットフードは「総合栄養食」や「AAFCO」などの基準に沿った成長段階に合うものを選びましょう。市販の総合栄養食は、「子猫」「成猫」「シニア」などのライフステージに分けて展開されています。パッケージ表示を手がかりに、現在の年齢にふさわしい商品を与えてください。
猫の食事量は月齢・体重に応じて目安が決まっています。必要以上の食事量はカロリーオーバーにつながります。特にロシアンブルーは肥満になりやすい体質のため、食事の与えすぎに注意が必要です。
筋肉質のスレンダーな体つきを維持するためにも、バランスのとれた食生活を心がけましょう。
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ロシアンブルーは利口でしつけがしやすい猫です。しつけの基本をおさえておけば、ロシアンブルーとの生活をスムーズに始められます。
しつけはトイレを覚えることから始めましょう。トイレは排泄に集中できる場所を選んで設置します。ロシアンブルーは神経質な性格なので、落ち着ける環境を作ることは大切です。
トイレの準備ができたら、行動をよく観察し排泄のタイミングを見計らってトイレへ連れて行きます。無事に用を足せたらしっかり褒めてあげましょう。この練習を繰り返すことでトイレを使う習慣が身につきます。
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爪とぎは爪とぎ器で行うようにしつけましょう。爪とぎは猫の自然な習性です。しつけがないと壁や家具などあらゆる場所で爪とぎを始めてしまいます。
猫用の爪とぎはさまざまな素材の商品が販売されているので、ロシアンブルーの好みやお部屋のスペースに合わせて使いやすいものを用意しましょう。
爪を研ぐと猫の爪は鋭くなるため、定期的に爪切りをしてあげましょう。爪の引っかかりによるケガや家具や壁などのダメージを減らすことができます。
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ロシアンブルーはひっかきや噛みつきなど、威嚇するような態度を見せる場合があります。攻撃的な行動は、ストレスが一因です。ストレスの原因を探り、それを解消することが求められます。
ストレスの原因は来客が多い、生活音、飼い主さんとのスキンシップ不足などが考えられるでしょう。臆病な性格を刺激するようなもの、警戒感を抱かせるものはなるべく一掃し、快適に過ごせるシチュエーションを整えることが大切です。
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ロシアンブルーの平均寿命は、13歳前後です。猫全体の平均寿命は15歳といわれています。寿命は他の猫種とほぼ変わらないといえるでしょう。
ロシアンブルーと暮らすうえで注意しなければならない病気はなんでしょうか。遺伝性の疾患は少なく、比較的健康な個体が多いといわれる猫種ですが、気をつけたい病気はいくつかあります。
ロシアンブルーでよく取り沙汰されているのが「目の病気」です。代表的な眼病は結膜炎があげられます。結膜炎とは、まぶたの裏側を覆っている膜に炎症が発生した状態です。症状としては痒がったり白目が充血したり、膿を出したりします。目やになどが目立つようなら、動物病院へ診察に行きましょう。
尿の中に生じた結晶が次第に大きくなり結石ができる病気で、膀胱や尿道の粘膜を傷つけて炎症を引き起こしたり、結石が尿路を閉塞し尿がでにくくなったりします。猫は水分摂取量が少なく、尿の排出量も少なめであるため、結晶が尿と一緒に出ていきにくく、症状が悪化しやすいです。
尿のphをコントロールするための療法食や投薬で治療をしますが、再発しやすい病気の一つです。
体の細胞が糖を利用することができなくなり、血中に溢れ血糖値が上がってしまう病気です。初期には尿量が多くなり、水をよく飲むようになります。猫の場合は食事の好みが激しく療法食を嫌がったり、インスリンのコントロールがしにくかったりと、治療や管理が難しく飼い主さんが疲れてしまう場合も。
糖尿病は定期的な健康診断で予防や早期発見することができます。肥満は糖尿病の原因となるので、普段から適切な食事の量と運動を心がけましょう。
腎臓の働きが衰え、体内に蓄積された毒素を尿として排出できなくなることで、体のあらゆる機能に影響を及ぼす深刻な病気です。
根本的な治療方法はなく、病気にかかった腎臓はいずれ完全に機能停止し、命を落とします。病気が進行するまでは初期症状がほとんど現れず、予防は難しい病気です。高齢な猫ほど発症しやすいことがわかっているため、成猫期を過ぎたら定期的な検査を受けましょう。
ロシアンブルーは体の不調や異変を言葉で伝えることができません。飼い主さんは、日頃から猫の表情や行動をよく観察しておくことが大切です。「いつもと何か違うな」と感じたら、病気の症状を疑い病院へ相談しましょう。
健康診断を毎年受けておけば、飼い主さんが気づかない病気を発見できる可能性もあります。成猫なら年1回、シニアなら半年に1回を目安に健診を受診しましょう。
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ロシアンブルーの相場は15〜30万円ほど(2024年7月現在)です。価格は生後日数などによって変動します。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。ロシアンブルーが欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。月齢がある程度いった子猫ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する猫の繁殖を専門とする人のこと。猫種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから猫を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。猫の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親猫の様子を事前に確認することができるため、成猫時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない猫、飼い主さんがいない猫を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。
猫を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。2~3万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・キャットフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・猫砂
・消臭シート
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・爪とぎ
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、子猫が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
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猫をペットとして迎える時の心構え
ワクチン接種・健康診断の費用として1万円~1万5,000円ほどがかかります。
猫の平均的な飼育費用は、1カ月あたり7,000~1万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で3,000~4,000円ほどかかります。
猫砂や消臭シートなどの日用品が1カ月で800~2,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、その費用も必要になります。平均すると1回あたり、5,000~1万円ほどかかります。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で2万円ほど必要でしょう。1カ月にすると1,500円程度です。
初めて猫を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子猫は、異物誤飲や環境変化によるストレス性の軟便や下痢が多いです。
ただし、どちらも場合によっては10万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防や体調の変化に気を付けることが大切です。
お迎えしたばかりの頃は、環境変化によるストレスで軟便や風邪になりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、猫の1ヶ月の保険料は1,300~2,400円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように猫も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする猫の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。