人間同様、犬もしゃっくりをします。飼い主さんは、愛犬が急にしゃっくりを始めると驚いてしまうかもしれません。犬のしゃっくりの原因と、しゃっくりが起きにくくなるような工夫ポイント、しゃっくりが起きてしまった場合の止め方などを知っておけば安心です。
犬のしゃっくりはなぜ起きる?
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しゃっくりが起きる原因は、人間と同じように犬の横隔膜がけいれんを起こすからです。
横隔膜にけいれんが生じる原因そのものは、医学的にもまだはっきり解明されていません。けれども、呼吸中枢や横隔神経が刺激をされると、どうやら犬にもしゃっくりが生じるようです。
犬がしゃっくりを起こすきっかけは、早食いをはじめ、不安や興奮やストレスによる呼吸の乱れが多いと言われています。
呼吸器や消化器などの病気が原因で、しゃっくりが起こるケースもあります。
しゃっくりが起きたら、どう対処する?
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愛犬がしゃっくりを始めたら、まずやってあげたいのは愛犬の気持ちを落ち着けること。飼い主さんが「どうしよう!」と焦ると、愛犬も不安になってしまう恐れがあるのでご注意を。
しゃっくりで命を落とすことはないので、まずは飼い主さんが心を鎮めたうえで、次の方法を試してあげてください。
1)愛犬に寄り添いながら、やさしくお腹やのどを撫でてあげる
愛犬が落ち着けば、自然としゃっくりが収まるケースも多々。まずは、愛犬の動きを止めて落ち着けるムードを作ってあげましょう。
2)飼い主さんの指などを舐めさせる
人間のようにゆっくりを水を飲ませるといった対処法が、犬にはできません。なので、飼い主さんの指先においしいにおいのするバターなどを少量つけて、愛犬に舐めさせてみましょう。
犬の場合、舐めるという動作を続けるうちにしゃっくりが止まるケースもあります。
3)しゃっくりを忘れられるような行動をさせる
犬としても、しゃっくりが気になると焦ってくることも。そんな愛犬には、ベランダなどに出して外の空気を吸わせたり、屋外のにおいを嗅がせる。
あるいは室内で「フセ」といった合図を出したりして、自分がしゃっくりをしていることを忘れさせてあげるようにしてみてください。
そうすると、愛犬も飼い主さんも気づかぬうちに、しゃっくりがあっさり止まることもあります。
4)数秒だけ呼吸を止めさせる
これは人間がしゃっくりをした場合の対処法としても知られていますが、数秒間だけ呼吸を止めると、犬のしゃっくりが収まることがあります。
まず、飼い主さんは、愛犬のマズルをそっと握ってみてください。それから、反対の手の指先で犬の鼻の穴を数秒間だけ塞ぎます。これを何度か繰り返すと、しゃっくりが収まる場合もあります。
ただし、無理は禁物。愛犬が嫌がるような様子を見せるようであれば、別の方法を試してください。これは、飼い主さんと愛犬との信頼関係あり、飼い主さんがどこを触っても安心していられる愛犬にのみ実践可能な対処法です。
しゃっくりを予防するには
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犬のしゃっくりの予防法を、発生原因をもとに考えてみましょう。
早食いを予防する
犬のしゃっくりの発生原因として多数を占めるのは、早食いだと考えられています。食道にフードが詰まってしまったり、胃に一気に大量のフードが入ってしまったりすると、しゃっくりが出やすくなるようです。
食事中にしゃっくりがよく出る愛犬には、早食いを防止できる食器を使用するのがおすすめ。
早食い防止食器などというワードで検索すると、数多くの突起がついた食器や、迷路のような形状をした食器、食器内にボールが仕込まれているものなど、様々なタイプのフードボウルがヒットするでしょう。
愛犬の体のサイズや性格にマッチするタイプを選んで、ぜひ試してみてください。
フードの形状や大きさを見直す
フードの粒の大きさを変えるだけで、しゃっくりが起きにくくなる犬もいます。とくにお気に入りのフードが決まっていない場合は、しゃっくりが起きにくい形や大きさのフードに変更するのもよいでしょう。
どんなドライフードを食べてもしゃっくりを起こすようなケースでは、ドライフードをふやかしてから与えたり、セミモイストタイプにしたり、ウェットタイプと混ぜて与えるといった工夫も行ってみてください。
不安や緊張を取り除く
不安な気持ちになるとしゃっくりが出るという愛犬には、なるべくその不安の原因を取り除いてあげるのも予防法のひとつ。
どんなシチュエーションや精神状態になると愛犬にしゃっくりが出やすいか、日頃から観察しつつ、しゃっくりを生じさせる環境に愛犬を置かないように気遣ってあげましょう。
興奮をさせないように&興奮をすぐ鎮められるようにする
興奮するとしゃっくりが出る犬の場合は、なるべく興奮させすぎないようにしましょう。犬は、飼い主さんのテンションに釣られやすいもの。
興奮しやすい愛犬の場合
飼い主さんが必要以上に高い声や大声を出したり、オーバーリアクションを取ったりせず、落ち着いて愛犬と接すように心がけてみてください。
フードを見て大興奮してしまう場合
「オスワリ&マテ」で一度愛犬の気持ちを落ち着かせてから、「ヨシ」という解除の合図でごはんを食べ始めるようにしてあげたいものです。
愛犬が興奮してしまった場合
「フセ」や「マテ」などの動かずにいられる体勢へと飼い主さんが導いてあげましょう。
トレーニングは、愛犬を興奮させないために、さらには興奮してしまった愛犬を落ち着かせるために重要です。
子犬の頃からの社会化でココロを強くしておく
不安、緊張、興奮などは、愛犬が刺激だと感じる物やできごとによって引き起こされるもの。そもそも、あらゆる物や音などに慣れておいて、どんな状況でも落ち着いていられたら、犬はしゃっくりを起こさずにすむかもしれません。
あらゆる物事に慣らす「社会化」レッスンを、ぜひ、社会化のゴールデン期間と言われる子犬のうちに行っておいてあげてください。
ワクチンプログラム終了前には、抱っこをして散歩をしながらおやつを食べさせるという社会化の方法があります。
ワクチンプログラムが終わったら、犬の幼稚園やしつけ教室といった、犬のプロのサポートのもとで社会化ができる施設に通うのもよいでしょう。
病気が疑われる場合は動物病院へ
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しゃっくりのほかに、咳やいびき、吐きたそうな仕草、嘔吐などの症状が見られる場合は、呼吸器や消化器の疾患を愛犬が抱えている可能性もあります。
しゃっくりそのものは生理現象のひとつなので病気ではありませんが、もしほかの病気が原因でしゃっくりが一症状として出現している場合は、注意が必要です。
なるべく早期に、獣医師に相談するようにしましょう。
しゃっくりの頻度の記録を取る
念のため、いつから、どのような頻度で、どのような状況でしゃっくりが出るかを記録しておくことも大切です。
さらに、前述した対処法で収まるかどうかも試して、結果を記録しておきましょう。それらの情報は問診の際に役立ちます。
愛犬がしゃっくりをしているときは、ほかに気になる症状がないかどうか、愛犬が苦しそうにしていないかどうかも、日頃からよく見てあげてくださいね。