見事な毛並みとそのボリュームが特徴的なノルウェージャンフォレストキャット。 ダブルコートの豊かな被毛は、とても立派なものです。 名前の通り、原産はノルウェー。北欧の寒さにも耐えられるように長毛になっていったのは、想像に難くありません。 今回はこの「ノルウェーの森」を想像させる魅力的な猫、ノルウェージャンフォレストキャットの正しい飼い方をひも解いていきましょう。
もくじ
ノルウェージャンフォレストキャットにはどんな魅力があるのでしょうか。体の特徴や歴史について紹介します。
ノルウェージャンフォレストキャットの成猫の体重は、3〜8kgほどです。他の猫種に比べ体格がよく、がっしりとしています。特にオスは体が大きく、体重が9kgを超えるものもいます。
成猫になるまでには3〜4年ほどかかります。ほとんどの猫は生後およそ1年で成猫になりますが、ノルウェージャンフォレストキャットの成長はとてもスローペースです。
体全体は二層構造の被毛によって覆われています。豊かな被毛は、かつては北欧の厳しい寒さをしのぐ役割を果たしていました。手足にもびっしりと毛束が生えているのは、かんじきのように雪の上を歩きやすくするためだったと考えられています。
今では被毛は優雅でゴージャスなイメージの象徴となり、多くの人を魅了するチャームポイントとなっています。
ノルウェージャンフォレストキャットは、「ヨーロッパライン」と「アメリカライン」の2種類のタイプが存在し、それぞれ顔つきや体格が異なります。
ヨーロッパラインのノルウェージャンフォレストキャットは、大きくて筋肉質な体です。かつて森で暮らしていた野生時代を思わせる、たくましさがあります。
アメリカラインは、ヨーロッパラインに比べて華奢でしなやかな体型です。目が大きいものが多く、愛らしさもあります。
ノルウェージャンフォレストキャットの毛色は、実に豊富です。毛色は明るい色から暗い色まで幅広く、柄はしま模様、2色が組み合わさったバイカラーなど複数のパターンがあります。
日本で多いのはブラウン系の毛色です。特にホワイトと組み合わさったバイカラーがよく見られます。一方、赤みがかったクリーム系、3色が組み合わさったダイリュートキャリコは珍しく、なかなか出会うことができません。
ノルウェージャンフォレストキャットは、ノルウェーで長く親しまれてきた歴史ある猫です。ノルウェーの古い神話には、女神のそりを引く猫として登場します。
ノルウェージャンフォレストキャットは、もともと森で狩猟をして暮らしていました。ネズミ退治などを目的に農家が飼い始めたことから、ペットとしての歴史が始まります。1930年代ごろから血統の保存が始まり、1970年代以降から世界的に認知されるようになりました。
ノルウェージャンフォレストキャットはとても人懐こい性格で、飼いやすい猫です。人や他の猫、犬など、どんな相手に対しても社交的で信頼関係を築くことができます。
子どものいる家庭や他の動物を飼っている家庭でも、スムーズに迎えられる猫種といえるでしょう。
大型の猫はのんびりしている傾向にありますが、ノルウェージャンフォレストキャットは例外です。活発に遊ぶことが大好きで、やんちゃな面を見せることもあります。
一方で、我慢強く賢い一面も合わせ持っており、しつけに苦労することはほとんどないでしょう。
心を許した人には遊びやスキンシップをねだり、よく甘えます。そっけないイメージがあり猫が苦手だった方も、ノルウェージャンフォレストキャットなら自然と愛着が湧いてくるはずです。
ノルウェージャンフォレストキャットを飼う際のポイントと注意点を確認しておきましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットは運動が大好きです。自宅には自由に動き回ったり走ったりできるスペースを作りましょう。
好奇心旺盛なノルウェージャンフォレストキャットは家の中を縦横無人に活動するはずです。誤ってモノを壊したり、汚したりすることも時にはあります。いたずらされたくない貴重品や割れ物は、片づけておきましょう。
転倒や落下への対策も必要です。床が滑りやすい場合はマットを敷いておくといいでしょう。よく飛び乗る高い家具などには落下防止ネットを取りつけておくと安心です。
運動する時間はできるだけ毎日確保してください。おもちゃなどを使って飼い主さんから活動を促してあげると喜びます。1日5〜10分程度は一緒に遊んであげましょう。
木登りが得意なので、キャットタワーがあれば進んで活動してくれます。スペースがない家でも、上下運動でエネルギーを発散できます。
購入する際は、ノルウェージャンフォレストキャットの重みに耐え、飛び乗っても転倒しにくい商品を選ぶことが大切です。土台がしっかりしたタワーや、壁にしっかり固定できるキャットステップなどを選んでみましょう。
与えるフードはノルウェージャンフォレストキャットの年齢に合わせて選びましょう。子猫用・成猫用・シニア用など、ライフステージ別に作られたフードを取り入れれば、食事の管理が簡単です。
フードは、ダイエットや毛球症予防などの目的に合わせて選ぶこともできます。たとえば、肥満や運動不足が気になるときは、体重管理用フードを選ぶのがおすすめです。食物繊維の豊富な毛玉の排出を促すフードを取り入れれば、毎日の食事で毛球症を予防することができます。
ただし、すでに毛球症になっている場合や他の病気の治療中の場合は、かかりつけの動物病院に相談してから取り入れるようにしましょう。
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ブラッシングは毎日行いましょう。ノルウェージャンフォレストキャットは長毛種のため、被毛が絡まったり毛玉ができたりしやすいため、丁寧なお手入れが大切です。毛づくろいで飲み込む毛量を減らす効果もあり、毛球症の予防につながります。
夏の熱中症が気になる時は、サマーカットにするのもいいでしょう。ただし、被毛には体温調節の役割があるため、短く切り過ぎるのはおすすめしません。毛量の調節や、お腹などを部分的にカットする程度で十分です。
シャンプーは定期的に行う必要はありません。汚れがどうしても気になる時は、かかりつけの獣医師に相談した上で行うようにしましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットの平均寿命は、14歳〜16歳です。猫全体の平均寿命である15歳と比べると、それほど大きな差はありません。
ノルウェージャンフォレストキャットの飼い主さんが覚えておきたい病気を紹介します。
ノルウェージャンフォレストキャットは長毛のため、毛玉ができやすい猫です。どうしてもグルーミングの際に毛を飲み込んでしまいます。
体内に毛がたまり大きくなると、消化器官や腸などに影響を及ぼす毛球症になります。毛球症は、悪化すると開腹手術が必要になる厄介な病気です。日頃から被毛のお手入れをして、飲み込む毛量が増えないように注意しましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットの被毛は、湿度の高い夏は雑菌が繁殖しやすく、皮膚炎になりがちです。特に皮膚真菌症には注意しましょう。皮膚真菌症は、カビの菌に感染した被毛が円形に脱毛する病気です。悪化すると脱毛箇所が広がり、被毛の抜けた皮膚に炎症やかさぶたが発生します。
予防するには、原因菌をなるべく自宅に持ち込まないことが大切です。飼い主さんが他の猫を触った際は、愛猫に触れる前によく手洗いをしましょう。
糖尿病は、高血糖の状態が続くことで、さまざまな体調不良の症状が起こる病気です。進行すると重大な合併症につながり、命に関わることもあります。
特に肥満のノルウェージャンフォレストキャットは、糖尿病のリスクが高いです。適度な運動とバランスのとれた食事を心がけ、太り過ぎに注意しましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットは暑さが苦手です。大きな体は熱を溜めやすく、夏は熱中症になりやすくなります。暑い時期はエアコンを使用し、室内温度を涼しく保ちましょう。こまめに水分を与え、脱水を防ぐことも大切です。
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肥大型心筋症は心臓病の一種です。心臓の心室が狭まり、体へ血液が送られなくなることで、さまざまな症状を発症します。メインクーンやラグドールは遺伝子の突然変異によって発症するケースが認められていますが、詳しい原因はまだ明らかになっていません。
7歳以上から発症することが多く、病気が進むまで症状はほとんど現れません。定期的に健康診断を受け、病気のサインを見逃さないようにしましょう。
病気にならないためには、栄養のある食事や運動習慣、衛生的な環境を整えることなどが重要です。万が一病気になってしまっても、早期に治療を始めれば早い回復が見込めます。
飼い主さんは普段から観察力を磨き、病気を悪化させない努力も続けましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットの子猫の価格は10~30万円前後(2024年7月現在)です。ペットショップでの購入のほか、ブリーダーや里親制度を利用して迎え入れることが可能です。
ノルウェージャンフォレストキャットを探したい場合は、ペットショップに来店してみるとよいでしょう。人気の猫種なので、身近なお店で出会える可能性があります。
飼い方に不安がある場合は、ブリーダーに相談しましょう。繁殖のプロの視点から詳しいアドバイスをもらうことができます。
飼うタイミングや猫の見た目などにこだわりがないのであれば、保護猫団体に相談して理想に合う猫を探すのもいいでしょう。
猫の平均的な飼育費用は、1カ月あたり7,000~1万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で3,000~4,000円ほどかかります。
猫砂や消臭シートなどの日用品が1カ月で800~2,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、その費用も必要になります。平均すると1回あたり、5,000~1万円ほどかかります。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で2万円ほど必要でしょう。1カ月にすると1,500円程度です。
初めて猫を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子猫は、異物誤飲や環境変化によるストレス性の軟便や下痢が多いです。
ただし、どちらも場合によっては10万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防や体調の変化に気を付けることが大切です。
お迎えしたばかりの頃は、環境変化によるストレスで軟便や風邪になりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、猫の1ヶ月の保険料は1,300~2,400円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように猫も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする猫の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。