世界でもっとも小型の犬種である、チワワ。サイズは小さくて飼いやすそうに思えますが、勇敢で活発。マインドは大型犬に引けを取りません。そんなチワワと生活するコツを知って、ハッピーなチワワライフを送りましょう。
もくじ
チワワの原産国はメキシコだとされていますが、中国やヨーロッパに起源を持っているとする説もあり、そのルーツについては謎が多い犬種です。
いずれにしても、5世紀のマヤ文明の遺跡などからもチワワを思わせる小型の犬をかたどった遺跡が発掘されており、古い歴史を持っている事実はうかがい知れます。
チワワの祖先は、古来はメキシコの村で番犬としての仕事を担っていたとも考えられています。村人以外の来訪者があったり、害獣が村に近づくと、吠えて村人に異変を知らせていたとか。
また、日中と夜間の寒暖差の激しいメキシコの山間部において、寒いときに人々の懐を簡単に温める湯たんぽのような役割を果たせるよう、抱っこしやすいサイズに改良されたともいわれています。
その後、アメリカに渡り、ミニチュア・ピンシャーなどと交配され、現在のルックスに改良されると同時に、チワワと名付けられて世界の人々の人気を博す犬種へと発展を遂げました。
このような歴史を考えると、チワワと他の多くの愛玩犬グループの犬種との差に気づきます。それは、宮廷貴族の抱き犬として作出された犬種ではなく、ビレッジドッグの一種ともされるとおり、山間部で比較的ワイルドな生活を送ってきたということ。
そう考えると、チワワが勇敢で活発で、タフなマインドを備えていることも納得がいくでしょう。
チワワは、体高約15〜23cm、体重約1.5kg〜3kgと、とても小さい犬種です。数ある犬種の中でも最小クラスのチワワですが、生まれたばかりの赤ちゃんは当然、成犬よりもずっと小さく、手のひらに乗せられるほどの大きさしかありません。
体の特徴としては、手足は細いものの胴体はがっちりしていることがポイントで、比較的頭は大きめであることが多いです。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
チワワの被毛は、短毛のスムースコートと長毛のロングコートの2タイプあります。
スムースコートのチワワは、「スムースヘアード」とも言われ、光沢感のある滑らかな短い毛に覆われています。見た目がスタイリッシュなため、とてもクールな印象で、ブラッシングやシャンプーといった被毛のケアが簡単です。
ロングコートチワワは、全体的に毛が多く、耳周辺に飾り毛があることが特徴です。毛は柔らかく抜けやすいため、日頃から毛玉にならないようこまめにブラッシングしてあげることが大切です。
チワワは毛色も豊富で、ホワイト、ブラック、レッド、チョコなど、カラーバリエーションに富んでいます。どのカラーもとても可愛らしく、ペットショップでも老若男女を問わず人気を集めています。
チワワはとても活発で、好奇心が旺盛な性格をしています。飼い主さんには非常に愛情深く、甘えん坊であるため、すぐに家族のムードメーカー的存在となってくれることでしょう。
また、愛らしい見た目とは裏腹に、勇敢で負けん気の強い一面もあります。警戒心が強く、大きな相手でも勇敢に立ち向かうことができるため、飼い主さんがピンチのときには吠えるなどして、必死に飼い主さんを守ろうとしてくれます。
オスのチワワは、とてもやんちゃでわんぱくな性格をしています。明るく人懐っこいといった可愛らしさがある一方、リーダー意識や縄張り意識の強さから知らない人や見知らぬものには過剰に反応してしまうことも。日頃から信頼関係を築き上げ、愛犬にとって頼りになる飼い主さんでいられるよう努めましょう。
メスのチワワは、オスに比べて、穏やかな性格をしている子が多いです。飼い主さんに対しては基本的に従順で献身的ですが、元々の警戒心の強さからヒート(生理)期間中は攻撃的になることもあるようです。
この期間は、チワワにとってストレスや負担になる行動は避け、チワワが快適に過ごせる住環境を整えてあげましょう。
初心者の方でも飼いやすい犬種として知られるチワワですが、飼育にはどのような注意点があるのでしょうか。
チワワは自分の体が小さいことから、他の大きな犬たちから見下ろされて威圧感を感じたりして、臆病になることがあります。もし迎えたチワワがシャイなタイプだと気づいたら、犬の幼稚園といった施設を活用して、他の犬との社会化に取り組ませてあげるのがおすすめです。
また、チワワは番犬としての歴史を持つこともあり、非常に吠えやすい犬種です。この点においても犬の幼稚園などで社会性を身につけることで、警戒対象を減らすことが可能です。
散歩中にしっぽを下げて怖がるような様子を見せたら、すぐにおやつをあげてみましょう。「怖くないよ」「散歩は楽しいんだよ」と継続して教えてあげることで、苦手の克服につながります。
初めのうちは大変かもしれませんが、 努力を惜しまずしっかり指導することで、心身ともに安定したチワワに育ってくれるはずです。
超小型犬ということもあり、散歩は不要と間違われることも多いチワワですが、実際には毎日の運動が欠かせません。
散歩は1回15~30分くらいを可能な限り1日2回、雨の日にはたっぷりの室内遊びなどをしてあげるのが理想です。犬にとって散歩は、運動不足解消だけでなく気分転換にもなるため、できるかぎり外に連れて行ってあげてくださいね。
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室内遊びは、おやつを家具の裏やクッションの下などに隠して嗅覚で探させる「ノーズワーク」や、飼い主さんとコミュニケーションが深められるトレーニングなどがおすすめです。
また、屋外では、アジリティーに挑戦するチワワも少なくないため、お稽古感覚で愛犬が好きそうなものを探して取り組むのもよいでしょう。
犬は、外に出ることができず室内ばかりで退屈な毎日を過ごすと、ストレスから足先を舐め回して皮膚病になったり、過剰に吠えるようになったりと、心身ともにバランスを崩してしまうことがあります。
サイズは小さくても運動は欠かせませんので、チワワが生まれ持っている欲求を満たして、充足感たっぷりの生活をさせてあげてください。
チワワの頭部はリンゴの形に似ているのでアップルヘッドと呼ばれますが、この頭頂付近の骨と骨のつなぎ目(泉門)が開いていて空洞があるのが特徴。そのため、決して頭をたたいたりしてはいけません。
もちろん、頭部を硬いものにぶつけないように注意する必要あります。
チワワはタフなマインドと高い運動神経を備えている犬種ですが、体が小さくて華奢なのでケガや病気にはほかの犬種以上に注意が必要です。そのため、ときに動きが荒くなったり、繊細な扱いをしたりするのが困難な幼い子どものいる家庭には、チワワはまだ早いかもしれません。
チワワと暮らすのであれば、心身ともに適切なケアができる家族が向いているといえるでしょう。
チワワの平均寿命は、13~15歳と犬の中でも比較的長寿な傾向にあります。
日頃から、病気にならないような健康的な生活を心掛け、もし病気をしたとしても早期発見・早期治療に努めることで、さらに長生きしてくれることでしょう。
チワワには、小さなサイズもゆえに抱えがちな健康トラブルがあります。 ここでは、チワワの注意しておきたい病気について紹介します。
チワワは幼齢期から、水頭症が見られる可能性が高い犬種です。水頭症は、脳脊髄液(のうせきずいえき)が増えて脳が圧迫され、さまざまな神経症状が出る病気。愛犬の動きがにぶかったり、動きに異常が見られるようであれば、早期に動物病院を受診しましょう。
小さくて骨が細い犬種なので、落下による骨折にも注意が必要です。華奢なのでそっと抱っこしたくなるかもしれませんが、勇敢で機敏なチワワが急に動いて地面に落ちないように、抱っこする際はぎゅっとホールドして安全を確保してください。
チワワは、膝(ひざ)のお皿がはずれる膝蓋骨脱臼(パテラ)になりやすいことが知られています。発症のリスクを高めるので、フローリングなどの滑る床では生活をさせないようにしましょう。
膝の状態を、ワクチン接種や寄生虫の予防薬を処方してもらう際など、定期的に獣医師に確認してもらって把握しておくことをおすすめします。
チワワは気管が狭いという身体的な特徴があるため、気管虚脱になりやすい傾向にもあります。気管虚脱は、気管がつぶれて呼吸しにくくなる病気。
のどや首に負担がかかることが発症の一因や症状悪化につながるので、もし愛犬に引っ張り癖や踏ん張り癖があるようであれば、散歩時は首輪ではなくハーネスを使用したほうがベターです。
また、肥満によって気管がさらに狭くなってしまうため、万病のもとともいわれる肥満に愛犬が陥らないよう、健康管理をしっかりと行いましょう。
チワワの生体価格は10~50万円ほど(2024年7月時点)です。犬の値段は性別、血統、購入方法などによって変動します。ここからは、チワワを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。チワワが欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。月齢がある程度いった子犬ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。また、チワワは、人気犬種なため出会うには運やタイミングが必要です。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
小型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1~2万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で3,000~5,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で1,000~3,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、小型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。犬猫の骨折、異物誤飲の平均治療費は以下の通りです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、小型犬の1ヶ月の保険料は1,500~4,400円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
* 犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。