自宅の猫が子どもを産んだ、外で子猫を拾ったなど初めて子猫を育てる場面に遭遇したとき、餌は何をあげたらいいのか、どうやって育てたらいいのか、分からないことばかりで不安になると思います。今回は、子猫の餌についてお伝えしていきたいと思います。
もくじ
子猫は時期ごとに餌の与え方が異なります。特に、生後1ヶ月は子猫の免疫や成長にも影響があり、与え方を間違えると、命に関わりますので特に気を付ける必要があります。
自宅で子猫が生まれた場合、まずは母猫の初乳を飲ませてください。初乳には、子猫にとって大事な免疫物質が含まれています。免疫を獲得するためにも、生まれて24時間以内に初乳を十分に摂取する必要があります。
母猫がいる場合は、引き続き母乳で育ててください。母猫がいない、または母猫が育児放棄をした場合は、飼い主さんが代わりに育てる必要があります。生後1ヶ月までは哺乳瓶でミルクを与えましょう。ミルクを与える際は、ミルクの種類、哺乳瓶の口のサイズ、ミルクの量や温度に注意してください。
ミルクの種類は一般的な牛乳を与えるのではなく、子猫用ミルクを与えてください。牛乳を与えた場合、うまく消化ができず下痢を起こすことがあります。
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子猫が上手く口に入れられて、子猫のペースで吸える大きさにしてあげることが大切です。
哺乳瓶の口のサイズが大きいと、ミルクを一気に飲みすぎて誤嚥(ごえん)につながる可能性があります。逆に、哺乳瓶の口のサイズが小さいと、ミルクを飲むことに疲れてしまって飲まなくなることがあります。
サイズの目安としては、哺乳瓶を逆さにして手の甲に哺乳瓶の先を付けたときに、ミルクが少し滲み出てくるくらいがよいでしょう。逆さにしたときにミルクが漏れて出てくるようなら、哺乳瓶の口のサイズが大きい可能性がありますので注意してください。
ミルクは、商品パッケージの裏に書いてある1日の適正量を、数回に分けて与えます。1日に何回与えないといけないという決まりはありません。
個体差はありますが、生後1~2週間は1日の総量を4~8回(3~6時間毎)に分けて与えます。生後2~4週間になると1回で飲めるミルクの量が増えるため、回数を1日3~4回に減らしていきます。
また、与える際ミルクの温度もとても重要になります。冷たいまま与えると、子猫の受け入れが悪く飲んでも吐き戻してしまうことがあります。人肌程度に温めてあげてください。
健康な子猫は基本的に、毎日体重が増えます。個体差はありますが1週間当たり50~100g程度増量します。毎日ミルクをしっかり飲んで、体重が増えていれば心配する必要はありません。
もし、ミルクを飲んでいるのに体重が増えていない場合は、ミルクの量が適正なのか、下痢などの身体異常がないか確認してあげてください。
生後1~2ヶ月は、今までミルクを飲んでいた子猫が、徐々に固形食などを食べられるようになる離乳の時期になります。
この時期の胃はまだ小さく、胃腸機能も未発達のため、離乳食としてふやかしたドライフードやウェットフードを与えてください。
ドライフードをふやかす際は、お湯でふやかしたり、ミルクと混ぜて粥状にしたりしましょう。ふやかすことで食欲を刺激することが期待できます。与える際は、人肌の温度になっているかを忘れずに確かめましょう。餌の量は、1日の総量を3~4回に分けて与えてください。
生後2ヶ月以降、子猫の体は着々と大きくなります。離乳も完全に終わり、成猫と同じようなフードが食べられるようになるでしょう。
固形食が食べられるようになる時期ですが、初めのうちはウェットフードと併用したり、ドライフードのふやかしの硬さを徐々に硬くしたりして段階を踏んであげるとよいでしょう。1日の餌の回数は、個体差はありますが2~3回になります。
子猫が餌を食べないのは、「餌を認識していない」「病気になっている」といった理由が考えられます。
生後1ヶ月までは、ミルクを与えても飲みが悪いようなら動物病院に行きましょう。特に、咳をしたり口にミルクを入れても吐き戻したりする場合は、誤嚥性肺炎など大きな病気になっていることがあります。
離乳食に切り替え始める生後1~2ヶ月までの時期は、ふやかしフードを餌として認識できていない可能性があります。いきなりお皿から与えるのではなく、まずは餌を粥状にして鼻に少しつけて舐めさせてあげましょう。
その後、徐々に指先につけた餌を舐めさせながら子猫をお皿に誘導してあげてください。それを繰り返すことで、お皿の餌を徐々に認知できるようになります。また、餌を温めることによって、匂いが食欲を刺激してくれることもあるので試してみるとよいでしょう。
生後2ヶ月以降では、食べ慣れていないドライフードに切り替えると餌を食べないことがあります。この場合は、ドライフードにウェットフードを混ぜてあげたり、ドライフードを少し硬めにふやかしたりすることで、食べるようになることがあります。
子猫は健康であれば餌を食べない、体重が増えないということは基本的に少ないです。もし、そのような体調の変化がある場合は、動物病院に行くようにしてください。
子猫の餌に関してはドライフード、ウェットフード、手作り食とさまざまな種類がありますが、「絶対に食べないといけない餌」というものはありません。基本的には、ライフステージにあった総合栄養食であれば大丈夫です。
手作り食は栄養バランスが崩れることが多いため、注意が必要となります。もし、どうしても手作り食を与えたい場合は、手作り食のレシピを考案してくれる専門家に相談しましょう。
子猫への餌の与え方として「置き餌」は控えましょう。置き餌に慣れてしまうと、食べムラにつながったり、ウェットフードなどが傷んでお腹を壊したりする原因となってしまいます。また、多頭飼育の場合は、どの子がどれくらい食べたか把握するのが難しくなります。
時間を決めて与えることで、食事への興味を継続させたり、食べる量の把握ができたりするため、肥満予防にもつながります。
子猫は人の赤ちゃんと同じで、色々なものに興味をもち口にします。子猫に限らず猫に与えてはいけない食べ物は多くあります。
などは、体に有毒で命にかかわります。
チョコレート中毒、ネギ中毒に関しては、以下に食べた場合の症状を説明しておきます。
臨床症状は、チョコレートを摂取して早ければ2~4時間、遅くても12時間以内に現れるとされています。初期症状としては、嘔吐や下痢、落ち着きがないなどが認められます。
さらに、過剰な興奮、頻脈、頻呼吸を起こし、ひどい場合は痙攣や昏睡状態になることもあります。
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猫は犬よりもネギに対する感受性が高いため、少量食べた場合でも中毒を引き起こすことがあります。臨床症状は摂取して1日から数日で現れます。症状は食欲低下、嘔吐、下痢などを認めることもありますが、主に貧血を引き起こします。
貧血は、進行するにともない口の中の粘膜が白くなることや、虚脱(体の力が抜けた感じでぐったりすること)などを引き起こします。ネギ中毒に対する特別な治療はないため、摂取後数時間以内であれば吐かせたり、胃洗浄を試みたりする必要があります。
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その他に注意する食べ物については、こちらの記事を参照してください。
果物は猫に与えてもいいの?「食べてもよい果物」と「いけない果物」を知っておこう
食べ物ではありませんが、おもちゃやタオルの糸くずも注意です。これらはお腹の中で腸につまって腸閉塞を引き起こすことがあります。もし、愛猫が食べてはいけないものを食べた場合は、すぐに動物病院にご相談ください。
子猫を育てる上で母猫、飼い主さんのサポートはとても重要になります。また、子猫にとって食事というのは成長過程でとても大切な要素を含んでいます。子猫の餌で重要なことは、栄養バランスの取れた総合栄養食と適切な量・回数で与えることになります。もし、餌を食べない、元気がないといった場合は、自分で判断せず動物病院に行くようにしてください。
飼い主さんが正しい知識を身につけ、愛猫をしっかりサポートをして育てましょう。そして、いっぱい可愛がってあげてください。