一晩中続く大きな鳴き声に、あちこちにかけてしまうオシッコ……。発情期の猫の行動に飼い主は振り回されてしまうかもしれません。でも、そんな行動を無理に抑えようとしたり、むやみに叱ったりするのは禁物です! 発情期中の猫と一緒に暮らすために気をつけておきたいことをご紹介します。
もくじ
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発情期中、メス猫はびっくりするような大きな声で鳴きます。これはオス猫に自分の居場所を知らせるための本能です。オス猫はメス猫ほど鳴かないと言われていますが、メス猫の呼び掛けに答えて鳴くこともあります。オス猫の場合、大きな声は他のオス猫を寄せ付けないための警戒のサインでもあります。
猫は夜行性なので一晩中泣き続けることも……。でもこれは本能であるため、叱ったり閉じ込めたりしてもおさまりません。
夜鳴きに耐えかねてマタタビを与えて気を紛らわせたり、獣医師に睡眠導入剤を処方してもらったりする対処方法をもあるようですが、これは猫の体に負担が掛かってしまうのでおすすめできません。特にマタタビは、過剰に与えると呼吸困難を引き起こす可能性もあります。
また、メス猫の場合は交尾をすると発情期が早く終わるので、湿らせた綿棒でメス猫の膣(ちつ)を刺激するとよいという説もあるようですが、素人が行うのは大変危険です。デリケートな膣内の粘膜を傷つけてしまう恐れがあります。
本能による行動を飼い主がコントロールしたり、やめさせたりすることはできません。無理をすると、猫にとっても飼い主にとっても余計なストレスになってしまいます。発情中の猫と一緒に生活をするには、飼い主が猫の本能に生活を合わせる必要があります。
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トイレのしつけができていても、発情中の猫は家中あちらこちらにオシッコをしてしまいます。オス猫はお尻を高く上げて、オシッコを後ろにまき散らすスプレーと呼ばれる行動を取ります。これは自分の縄張りを主張するためです。より高い位置に臭いをつけて、自分は大きなオス猫であると他のオス猫に見せようとします。また、メス猫がトイレ以外の場所にオシッコをするのは、自分のフェロモンをまき散らしてオスを引き寄せるため。オス猫と同じ様にスプレーをすることもあります。
こちらも夜鳴き同じく、叱ってなおるものではありません。先回りして、オシッコを掛けそうな場所にはっ水性のシートを貼って置いたり、トイレシートを敷いたりして、簡単に掃除できるように工夫することをおすすめします。
発情中のメス猫の鳴き声は赤ちゃんの激しい泣き声によく似ています。猫とは知らずにその声を聞くと「子どもを虐待しているのでは?」と心配されてしまう可能性もあります。できればご近所には猫を飼っていることを知らせておき、発情中に大きな鳴き声で鳴くことを先におわびしておくとよいでしょう。
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一晩中続く鳴き声は飼い主にとっても困りもの。夜鳴きを防ぐには、日中に遊ぶ時間を増やし、夜は疲れて眠るようにするのがおすすめです。好奇心をそそるようなおもちゃを用意しておきましょう。
発情中のメス猫は普段より甘えてくるようになります。飼い主にとっては嬉しいことですが、あまり頻繁になでまわしていると、それが刺激となってさらに発情が激しくなってしまうことも。心を鬼にして、甘えてきてもなでまわすのは控えます。
オス猫もメス猫も、異性の猫に反応して発情しやすくなります。発情期には他の猫と接する機会を避けましょう。一頭飼いであっても、窓の外に他の猫の姿が見える環境にある場合は要注意です。外にいる猫の気配を感じたり、鳴き声が聞こえたりするだけで興奮してしまう場合があります。
オス猫同士は、ケンカをしてメス猫に自分の強さを見せつけようとする本能があるため、むやみにケガをさせないように注意しなければなりません。
室内飼いの猫も、発情すると他の猫を求めて外へ出ようとします。うっかり脱走してしまったら、他の猫とのケンカによるケガや、交尾による感染症が心配されます。さらにメス猫の場合は、交尾をするとほぼ確実に妊娠してしまいます。猫は交尾の刺激で排卵をするので、妊娠の確率は90%です。うっかり脱走してしまわないように、家の戸締まりは厳重にしておきましょう。
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発情期の猫の行動に合わせるのは、なかなか大変なことです。猫にとっても、交尾のない発情が続くのは大きなストレスになり、寿命にも影響すると言われています。
初回の発情を経験し、一度スプレー行為を覚えてしまうと、手術をしてもおさまらないケースもあるようです。子猫を望まないのであれば、発情期を迎える前に早めの不妊・去勢手術を検討してみてはいかがでしょうか。