犬と暮らすには「お散歩」が欠かせない、と思っている人も多いでしょう。 ストレスや運動不足の解消としてのお散歩が必要であることはもちろんなのですが、毎日どんな状況でも行かなければならない、と考えるのは間違いです。 では犬にとっての「お散歩」とはどのようなものなのでしょうか。彼らが求めていることと、私たちができることを合わせて考えてみましょう。
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この夏はほんとうに酷暑というべき異常な暑さでした。犬を飼っている人たちは、まだ気温が低めの早朝にお散歩に行っていた方も多かったと思います。
毎日、愛犬のお散歩のためにまだ暗いうちに起きて、犬種によっては冷却材などを首に巻かせて、手のひらでアスファルトに触れその熱さを計り、愛犬の体調をみながら歩き出す…。とてもすばらしい、ほんとうに頭の下がる思いです。
けれども、まずは肩の力を抜きましょう。
そんな「暑くなる」日はお散歩に行かない、と決めてしまうのです。そうすればあなたの睡眠不足も解消されます。早起きはすばらしいことですが、寝坊だってすてきなことです。
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もちろん、お散歩に行かなくていい、ということではありません。犬にとって散歩は絶対に必要なものです。
ただ、暑い日や大雨や大雪のときに、わざわざ外に出ることはありませんし、あなたの体調や愛犬の状態をみて「別に今日は行かなくてもいいか」と思えることが大切なのです。
私たちにはたくさんやることがあります。毎日やらなくちゃいけないことが多すぎます。その中でどのように犬と暮らしていくか、あらためて考えてみること。かんたんなスケジュール表を作るのもいいでしょう。
お散歩に行けない日があるのなら、散歩以外でどのように愛犬の欲求を満たしてやるかを考えてみてください。ボール遊び、くんくんゲーム、追いかけっこ…室内でできる遊びはとても有効です。
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では、逆に犬にとってお散歩が必要な理由とはなんでしょうか?
それはまず「フィットネス(F)」。筋肉を動かして、新陳代謝を促し、健康を維持する。そう、運動です。これはもちろんよく知られていることですが、お散歩の効能の代表的なものでしょう。
さらには「リフレッシュ(R)」。外に出て匂いを嗅ぎ、まわりを見て、新しい刺激を受けること。実は散歩の効能として、とても意義のあることではないでしょうか。
犬にも当然、本能的欲求というものがあります。世界は毎日生まれ変わり、新しいことにあふれています。私たち人間がそれを感じたいように、犬も新しいものに出会う刺激を求めているのです。少し大げさに言うのなら、「生きるよろこび」を感じるためにお散歩をする、というのもあながち間違いではないでしょう。
そして「コミュニケーション(C)」。愛犬と飼い主のあなたとの、楽しいお散歩を通した「やりとり」です。
愛犬はわくわくしていませんか?フィットネスもリフレッシュもとても大切なことですが、愛犬は「あなた」と冒険に出ることを望んでいるのです。
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さて、そこで私たちがもうひとつ考えなければいけないことがあります。
犬の散歩は「義務」に陥りやすい。義務になってしまった途端、それはつまらないものに見えてきます。
ルーティンワークというのは、注意しないと機械的になり、次第には雑務として処理されるようになります。犬の散歩というものがそうなってしまったら、不幸なのは飼い主のあなた、そして愛犬です。
ではどうするか。
散歩コースや出かける時間を変えてみるのもいいでしょう。途中で一緒に遊んだり、走ったりするのもまたひとつの手だと思います。もしも可能なら1日に何度でもお散歩に出かけたっていいわけですし、愛犬の行きたい方向へとにかく進んでいく、みたいなゲーム性のある遊びもありでしょう。
けれどもいちばん考えてほしいのは、飼い主のあなたが「散歩を楽しむ」マインドを持つ、ということです。
そう、私たちがしなくちゃいけないのは「犬の散歩をする」ことではありません。
「犬と散歩をする」ことなのです。
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「犬と散歩をする」こと。その主語は飼い主のあなたにあります。
あなたがすべてを決めるのです。犬の散歩に行ってきます、ではなく犬と散歩に行ってきます、のほうが楽しそうではないですか。それは自分自身のことも認め、愛犬のことも尊重している、そんな響きがあります。
四季折々の自然、新しいスニーカー、美味しいコーヒー、楽しそうな愛犬の顔。
お散歩にはたくさんの刺激があり、癒しがあります。
ああ、犬と暮らしていてよかったなあ、と思う瞬間の多くはお散歩時間にやってきます。夕方の5時のチャイムはなぜかセンチメンタルに聞こえますし、夕げの香りは家族のあたたかさを思い浮かべてしまいます。ふと足もとを見ると、愛犬がこちらを向いていて、今日も楽しかったね、と語りかけてくれているようで。
補足ですが、散歩時間は天候や状況によって判断してください。平均で言えば1回30分~1時間程度かと思われます。若犬と老犬ではもちろん変わってきますが、「歩く」だけが散歩ではなく、ただ佇んでいてもよいのです。
お散歩というのはいいものです。飼い主にとってもいいものなのです。