愛犬がもしご飯を食べてくれなくなってしまったら…不安ですよね。そこにはいくつかの理由や原因があるはず。飼い主さんは毎日必ず愛犬の状態をチェックすることが求められます。今回はそんなときの対処方法も含めてお話しましょう。
もくじ
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愛犬が急にご飯を食べなくなってしまったら心配になりますよね。まず思い当たるのは「体調不良」ですが、その他にも「ストレス」や「運動不足」など、様々な原因が考えられます。
しかし原因を探るより前にまずチェックしてほしいのは、“水は飲めているのか”ということ。健康的な犬が1日に飲む水の量は、体重1kgあたり50~60mlと言われています。
季節や生活状況によって違いはありますが、この目安よりも極端に少ない場合は脱水症状を招く危険性があります。その場合は食欲不振にもつながります。このような状態が続くときは、早急に動物病院を受診しましょう。
それでは、ご飯を食べない理由として考えられる原因を、ひとつずつ見ていきましょう。
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愛犬が急にご飯を食べなくなった場合、何らかの病気が原因である可能性があります。ご飯を食べないだけでなく以下のような症状も見られるようであれば、すぐに病院へ連れていくようにしましょう。
食べ物だけでなく水も受け付けない場合は病気の可能性が高く、前述の通り緊急度も高いです。口腔内の異常が原因の場合もあるので、傷はないか、口内炎はないか、歯がぐらぐらしていたり、割れて血が出ていたりしないか、口の中も確認してみましょう。
便の色、硬さ、内容物、回数などをメモしておきましょう。可能であれば、時間が経っていない便を病院に持参すると診断の参考になります(難しい場合は写真でもOK)。
下痢のときと同様、吐物の色、状態、内容物、回数などをメモしておきましょう。吐物も実物や写真を病院に持参すると、診断の参考になります。
呼んだり遊びに誘っても反応が薄い、物影などに隠れる、ボーッとしている、といった状
態のときは何らかの異常を感じているサインかもしれません。
病気の種類は、病院で検査をするまでわかりません。口内が原因のこともあれば、内臓に問題が起きている場合など本当にさまざま。命に関わるケースも考えられるのです。
特に犬の腎臓病は、命に関わる怖い病気。ご飯を食べない以外に、嘔吐をしたり、動こうとしない場合などは、すぐに病院を受診するようにしましょう。
くれぐれも、様子見はしないようにしてください。腎臓病は高齢犬ほどかかりやすい病気なので、特に高齢犬と暮らす飼い主さんは、日頃から小さな変化にも気づけるようにしましょう。
「愛犬の小さな変化に気づくこと」が最も重要になります。そのためには、毎日必ず愛犬を観察する時間を設けること。また、毎日カラダを触ってボディチェックすることも大切です。
1日の中で、しっかりと愛犬を見ていられる時間はどれくらいありますか?テレビを見ているときやスマホをいじっている時間はそれに含みません。
また、毎日愛犬のカラダを触ることは、病気の早期発見だけでなく絆を深めることにもつながります。
愛犬との生活をもう一度見直して、小さな変化も見逃さないようにしましょう。
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愛犬がご飯を食べない理由として、精神的なストレスを抱えている可能性があります。私たち人間も、何かイヤなことがあったり悲しいことがあると、食欲不振になることがありますよね。
犬も私たちと同じ生き物なので、感情があります。留守番ばかりさせていないか、怒ってばかりいないか、いつもと環境が変わっていないかなど、改めて生活を振り返ってみましょう。
犬がストレスを感じる原因はさまざまです。飼い主さんご自身が、「愛犬がごはんを食べなくなった数日前までの生活」を振り返ってみることが大切です。
愛犬と一緒にいられなかった分、いつもより長くそばにいてあげてください。そのとき、愛の込もった言葉をたくさんかけて、優しく身体を撫でてあげることも忘れずに。
いつもの何倍も褒めてあげましょう。それは本当に叱るようなことだったのか、改めて考えてみるのも大切ですね。
また、愛犬がごはんを食べなくなってしまう時の共通点を導き出すことも重要です。
例えば、ドッグランへ行くとその日の夜は必ずごはんを食べなくなるといった場合は、他の犬と触れ合うことにストレスを感じている可能性が考えられます。
無理にお友達を作ってあげる必要はありません。飼い主さんがお友達の代わりになってあげれば良いのです。愛犬の性格に合わせて、別の楽しさを見つけてあげるようにしましょうね。
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犬の味覚は人間の約5分の1と言われています。そのため同じフードでも飽きることはない、という言説も。実はおやつの与えすぎで飽きたように見える、ということもあるでしょう。
しかし、生まれたときからずっと同じフードを食べているのが、良いことなのかどうか、もう一度飼い主が考えてみる必要があるのではないでしょうか。
お散歩だって、毎日同じコースを辿るよりも、たまには別の道を通って、新しい刺激を味わいたいはずです。食にもそういう一面がないとは言い切れないと思うのです。
一般的な総合栄養食のフードであれば、基本的にはフードの切り替えは必要はありません。犬がご飯を食べないのであれば、食事に少しトッピングをしてみましょう。
アレルギーのないお肉を少量茹でて、いつものフードに混ぜ込むだけで完食してくれる子もいるでしょう。
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特に病気を患っていなくても、年齢を重ねることで自然と食事量が減ってくるのは、人間も犬も同じです。
シニア期になってくると筋力や代謝が落ちるため、運動量や1日の消費カロリーも減ってきます。そのため、以前ほど多くの食事を必要としなくなってきます。
また筋力が衰えることで、食べる姿勢をキープすることを負担と感じている場合も考えられます。消化機能や咀嚼能力も徐々に低下していくことで、食べられる量は自然と減少していきます。
歯周病や口内炎といった口腔内のトラブルが原因で、硬いものを食べたがらなくなることもありますね。
味覚や嗅覚といった感覚も若い頃よりも鈍くなり、それによって食への興味が薄れてしまうことがあります。
年を重ねることで変化するのは、身体面だけではありません。精神面も変化し、こだわりやわがままが強くなり、頑固になる傾向があります。この変化によって食事を残したり、食べなくなったりすることがありますよ。
お湯でふやかして消化しやすくしたり、温めて香りが立つようにしてあげましょう。トッピングなどを工夫して、食欲を誘ってみるのもよいですね。
同じフードでも、噛みごたえのあるドライの状態、ふやかした状態、すりつぶしたペースト状など、変化をつけることができます。
食事の時間や回数にこだわらず、愛犬が食べたがったタイミングで少量ずつあげても構いません。
例えば朝は食欲が出ないようであれば、食事のスタートは昼からにしてもOK。栄養価が高く、少なくても満足できるような質の良いフードに変えてみてもよいでしょう。
また食器台を使用するのもおすすめです。姿勢を維持する負担が軽くなりますし、飲み込みやすくなるので誤嚥の予防にもなります。
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ここまで挙げてきた理由に当てはまらない場合、以下のような理由が考えられます。あなたの愛犬はいかがでしょうか?
猫のエピソードでしばしば聞くことがありますが、犬でも「食べないでいると、もっとおいしいものが出てくる」と学習して、わざと食事を食べなかったり残したりする場合があります。
「もっと構ってほしい」という気持ちから、ご飯を食べずに遊びたがる時も。イタズラをして注目を集めたい子供のようですね。
普段通り元気で、水やおやつは口にしているようなら、「甘え」「わがまま」の可能性が高いでしょう。
「おやつなら食べるから…」と考えず、おやつはあくまで食事の1割程度にとどめ、毅然とした対応を心がけましょう。飼い主さんの手からであれば食べることもありますが、癖にならないように気をつけて。
少しでもいつもと違うところがあると食べない犬もいます。性格的に繊細で、変化に敏感なのですね。食べものの内容だけでなく、食事の環境が気になっていることも。
例えば食事中にテレビの音が大きかったりすれば、食事に集中できません。いまにも倒れそうな掃除機がそばに立て掛けてあるとか、食事場がターンもできないような狭い場所にあるなど…。愛犬の食事中にストレスを与えないようにしたいものです。
性格的な理由であれば、できるだけ愛犬が安心できる状態を整えてあげてください。
前述した通り頻繁にフードを変更する必要はありません。けれども理由があってフードの切り替えをするときは、以前のフード8割:新しいフード2割ほどから徐々に割合を変えていき、1週間程度かけてゆっくり切り替えていきましょう。
その過程で調子が悪くなるようであれば、動物病院にすぐに相談・受診することをおすすめします。持病がある場合は、獣医師と相談しながらフードを選んでいってください。
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犬種によっては生後6ヵ月頃から始まるヒート(生理)。犬の「発情前期・発情期・発情後期」のことで、妊娠に備えて子宮が充血し、出血します。
避妊をしていない健康なメスであれば、ヒートが来るのは年に2回ほど。個体や年齢によって異なりますが、出血が続くのはおよそ1~2週間程度です。ただし出血が見られなくなっても発情期である可能性はあります。
ヒート中は落ち着きがなくなったり、水をたくさん飲んだりと様々な変化が現れますが、食欲が低下するのもそのひとつ。一時的なものなので心配はいりませんが、フードを温めたりトッピングをしたりして、工夫をしてあげてもよいでしょう。
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特に「甘え」「わがまま」が理由で食べないときは、ご飯を出して20~30分ほど経ったらキッパリと片付けてしまいましょう。「いつでも食べられる」と勘違いさせないために大切なことです。
体調不良で食べられない場合も、ご飯を置きっぱなしにするのは衛生的にNG。シニア犬や消化器のトラブルで少量ずつしか食べられないのであれば、その都度出してあげるようにしてくださいね。
鼻が詰まっていると、おいしいはずの食事でも味気なく感じますよね。匂いというのは食事にとって、とても重要な要素です。人間の100万~1億倍の嗅覚を持つという犬にとってはなおさらでしょう。
ご飯の匂いを強めるのに効果的なのは、温めること。アツアツにしてしまうとやけどをしてしまうので、ほのかに温まれば十分です。
軽く電子レンジにかけたり、ドライヤーの温風を当てたりする程度でも、犬はグッと食欲を刺激されますよ。
そもそもお腹が空いてないので食べないというシンプルなケース。シニア犬やケガなどの不調を抱えている犬はどうしても運動不足になりがちです。生活スタイルや季節・天候によって室内で過ごす時間が長い場合もあります。
運動不足の解消で一番効果的なのは、何と言っても散歩の量を増やすこと。ただし、シニア犬やケガ・心疾患などの持病がある犬の場合は、無理に増やさず負担がかからないように気をつけてください。
室内にいる時間が長い場合は「取ってこい」「引っ張りっこ」など、室内でできる遊びを積極的に行ってみましょう。
ご飯を食べるようになったら「食べて当然」と思うのではなく、しっかりと褒めてあげましょう。褒めることは「その行動は良いことだよ」「これからもそうしてほしい」という飼い主さんからのメッセージになります。
犬は褒められるのが大好きな生き物。たくさん褒めてくれる存在をより好きに、より大切に思うようになり、その気持ちが信頼関係へと繋がっていきます。
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「決まった時間にしかご飯はもらえない」と覚えてもらうため、ご飯を食べなかった場合はおやつをあげないこと。
おやつはあくまで嗜好品のため、おやつが主食になってしまうと栄養バランスが崩れてしまいます。ご飯をしっかり食べている場合でも、おやつはご飯の1割以内が目安です。
もし愛犬がおねだりしても絶対におやつをあげないよう、家族にも協力してもらいましょう。
また食事に変化をつけたり栄養を補うためにトッピングは効果的な工夫ですが、あまり過剰なトッピングは「わがまま」「好き嫌い」に繋がりかねないので注意してくださいね。
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成犬で元気があり、水分の補給ができていれば、1食抜いても大きなトラブルが起きることはありません。ただし絶食が続く場合や「まったく水を飲んでいない」「明らかに他の症状がある」「病み上がりなど体力が落ちている」「子犬やシニア犬」という場合は、早めに動物病院に受診しましょう。
検診などの際に「どれくらいご飯を食べなかったら受診したほうがよいか」を確認しておくと安心です。
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今回は、愛犬がご飯を食べないときに考えられる理由をご紹介しました。理由はそれぞれ異なるものの、これらに共通して大切なのは、愛犬の性格をしっかり把握しておくこと。そうすることで、愛犬の変化にも気づきやすくなります。
例えば病気を患っていても我慢強い子は必死に耐えるかもしれません。ストレスを抱えていても無理をして頑張る子もいるかもしれません。
より豊かなワンコライフを送るために、もう一度、愛犬の性格を見直し、その子にあった生活を送るようにしてみてくださいね。
それが自然と愛犬のストレスフリーな生活につながり、病気を防いだり食欲低下を防ぐことにつながるでしょう。