愛犬を車に乗せたとき、ヨダレが多くなる、あくびが増える、落ち着きがなくなることはありませんか?中には、嘔吐をしてしまう子もいるかもしれません。このような症状は、一般的に「車酔い、乗り物酔い」といわれています。今回は、犬が車酔い・乗り物酔いをする理由と、予防策についてお話しをします。
もくじ
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犬の耳の鼓膜の奥には、人間と同様に「内耳」と言われる場所があり、内耳には、位置情報や平衡感覚をつかさどる三半規管と前庭があります。 犬たちは通常、人間と同様に三半規管や前庭でカラダの位置情報を感知して、目で見ている景色(視覚情報)を脳に送ります。自分のカラダの位置や傾き具合を知ることで、自然と姿勢を崩さないようにしているのです。 例えば、私たちは頭を傾けても倒れずに立つことができますよね。しかし、その揺れや傾きが過度に起こると、三半規管や前庭で得た情報と、視覚で感知した情報にずれが生じてしまい、平衡感覚が保てなくなるのです。 その結果、脳の情報処理が追いつかず、胃や腸などの消化器をコントロールしている自律神経に障害が生じてしまい、嘔吐などの症状が引き起こされます。
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犬はもともと肉食動物。目の前の獲物を追いかけるために、目は「前」についています。一方シマウマなどの草食動物は、いち早く危険を察知できるように目が「横」についているため、視野を広く保てます。 つまり、目が横についていて常に視野が広い草食動物にとっては、景色が横に流れていくのが当たりまえなのです。 一方、目が前についていて視野が狭い犬たちとって、車から見る「横に流れていく景色」は見慣れた光景ではありません。これに慣れていないため、酔いやすいことがあるようです。 もちろん、犬の乗り物酔いには非常に個体差がありますので、全く酔わない子もいれば、車に乗って2-3分でよだれを垂らすなど症状があらわれる子もいます。ferdyboy/shutterstock
車酔いや乗り物酔いの症状として、「パンティング(呼吸が速くなること)、よだれが出る、あくびが出る」などがあります。 これらの症状が出た場合は、一旦車を停め、窓を開けて空気の入れかえをしたり、外に出て休憩をとることが大切です。 初めて車に乗る場合や愛犬が酔いやすい場合は、小まめに様子を見てケアをするようにしましょうね。KristinaSh/shutterstock
愛犬を車に乗せるときは、やや狭目のクレート(キャリーバッグ)に入れてあげましょう。そうすることで動きが制限されてカラダ揺れにくくなり、犬への負担が軽減します。 愛犬をヒザの上に乗せるオーナーさんも多いと思いますが、実は思っている以上に揺れが大きいのです。また、フリーの状態にするのもNG。犬たちは揺れるたびに足場を固定しようと必死になって体勢を整えるため、カラダが安定しません。 さらに、急ブレーキをかけた時に前へ飛び出してしまうなど事故につながる可能性があるので、大変危険といえます。 **クレートに布をかけるのも効果的 犬の車酔いは、周りの景色にカラダがついていかないことにも原因があるので、クレートに入れてあげることで、窓から見る視覚情報を遮断できる効果もあります。クレートから窓の外が見えるような場合は、クレートに布をかけてあげるのも効果的です。Africa Studio /shutterstock
愛犬にとって、ストレスがかからない状況を作ってあげることも非常に大切です。 犬の車酔いは、視覚情報や嗅覚情報のほかに「心理的ストレス」によって引き起こされることもあります。 できれば後部座席にクレートを置き、その隣に誰か座って優しく声をかけてあげるのが理想的です。 **クレート訓練をしておこう! クレートに慣れていない犬にとっては、クレートに入ることでさらに緊張感が増してしまうことも。愛犬がおうちに来た日から、クレートトレーニングをしておくようにしましょう。 穏やかにクレートで過ごせることは、車酔いの軽減はもちろんのこと、どこに連れて行っても役立つ習慣です。Nina Buday/shutterstock
食後や、過度な空腹状態では自律神経が過敏になり、車酔いしやすくなります。 車酔いをしやすい子は、朝ごはんを食べて午後に出かけるくらいの間隔が良いかもしれません。とはいえ、時間をあけすぎて空腹になると車酔いの原因になりますので、注意しましょうね。
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犬にとって、初めて車に乗るときの経験はとても大切です。 一度車酔いを経験した犬は、カラダが揺れたことや当時のニオイなどを覚えていて、車に乗っただけでパンティング(呼吸が速くなること)してしまうことがあります。 ドライブデビューの前にクレートトレーニングでクレートに慣れさせたり、愛犬にとってストレスフリーな状況をつくることで、「車は安心で楽しいもの」と思ってもらえたらいいですね。