愛犬・愛猫が歳を取ったなと感じるときはどんな時ですか?
以下に思い当たる症状はありませんか?
・物にぶつかるようになった |
・呼びかけに反応しづらくなった |
・食べるのが遅くなった・食べづらそう・食べこぼすようになった |
・排泄で粗相が増えた |
・歩くのがゆっくりになった・散歩に行きたがらない |
・ジャンプしなくなった(猫) |
・寝てばかりいる |
犬や猫の場合、一般的に7歳ごろ※からシニア期といわれる時期に入ります。※体格・犬種によって若干異なります。
年齢を重ねていくと、人間と同様に動物も視力、聴力、嗅覚、筋力の低下など身体機能が衰えてきます。ただ、人間よりも成長スピードが速い動物の場合には、体格差や性格によってもその変化は様々です。
日頃からスキンシップをたくさんとって、小さな変化に気付いてあげることが大切です。
“もう歳だから仕方ない”と思い込まずに、愛犬・愛猫が少しでも快適に過ごせるよう、ペットの介護について考えてみましょう。
今回は身体的に衰えてきたときに、飼い主さんができることについて、ご紹介します。
食事について
ドライフードをふやかしたり、ウェットフードを検討
咬む力(咀嚼力)が低下します。ドライフードをお湯で温めるなどして柔らかくしてあげるとよいでしょう。口腔内疾患(歯周病など)を患っている場合には、獣医師と相談のうえ検討してください。また、温めることにより風味を感じやすくなり、食欲増進にもつながる可能性があります。
お皿は肩の高さに
飲み込む力(嚥下力)が低下し、誤嚥しやすくなります。頭を下げずに食べられるよう、高さのある食器を利用したり、お皿を高くする台を用意してあげましょう。
年齢にあった良質な食事を
年齢によって必要なエネルギーや栄養素が変わります。また、代謝機能や消化吸収力の低下などにより、若いころと同じ量を摂取しても不足している場合がありますので、各年齢ステージにあったペットフードを選択しましょう。基本的に総合栄養食の場合は、必要な栄養素で構成されていますが、手作り食またはトッピング等追加する場合には、栄養バランスを考えて与えましょう。
食べることに興味がない子の場合には、フードを入れた玩具など遊びを取り入れて、与えてみるのも1つです。
散歩について
首輪より胴輪を使用
気管が弱くなったり、頸部を痛めやすくなります。首輪の場合は、首に負担がかかるため、不快に感じる可能性があります。その点、体全体を包む胴輪は、上半身全体で支えることができるため、力の負担が分散し首への負担が軽減されます。足腰が弱くなり、自力で立ち上がることが難しい場合には、歩行を補助するハーネス(歩行補助ハーネス)というものもあります。その子にあったものを選択してあげましょう。
爪のチェックを
散歩の頻度や歩き方の変化などで、爪が伸びやすくなっている可能性があります。伸びた爪は、引っかかってしまったり、割れてしまったり思わぬ怪我につながるかもしれません。定期的にチェックして、家で切るもしくは動物病院で爪切りをしてもらうとよいでしょう。
日光浴や気分転換を
自力で動けない状態の場合には、小型犬であればバギーや抱っこなどで短時間でも日光浴や外気に触れる機会を作ってあげましょう。大型犬の場合には、移動がとても大変になりますので、家の中で日の当たる場所で過ごす時間を作ったり、窓を開けて空気を入れかえるなどで気分転換をするとよいでしょう。
行き慣れた散歩コースを
目が見えにくくなっている場合、初めての道はとても怖いものです。行き慣れた道であれば、記憶や嗅覚をもとに、ある程度怖がらずにお散歩ができる可能性があります。
排泄について
トイレの見直し
尿を膀胱に貯めておけず、お漏らしをしてしまったり、足腰が弱くなり粗相する場合があります。トイレに行くことを億劫に感じないよう、トイレの場所は、寝床からあまり遠すぎず、段差のない状態で排泄ができるとよいでしょう。また、複数箇所用意してあげることで解決する場合もありますので、検討してみてください。
ペットオムツを利用
排泄状況によっては、ペットオムツを利用するとよいでしょう。その場合には、股が擦れたり、蒸れて皮膚炎をおこしやすくなりますので、こまめにチェック・交換してできるだけ清潔な状態を保つことが重要です。体格によっては、小型犬は人用のベビーオムツ、大型犬はペットシーツを組み合わせて、サイズを調節してあげるとよいかもしれません。
室内環境について
ペットの行動範囲を考慮した家具の配置を検討
視力の低下によりものにぶつかりやすくなります。寝床やトイレの場所、行動ルートを考慮して、家具の配置を検討してみましょう。また、脚力が弱くなりフローリングは滑りやすいため、カーペットやマットなどで滑りにくい床にしてあげることをおすすめします。
厚みのある寝床を
寝てる時間が長くなるので、体に負担の少ないマットを用意してあげるとよいでしょう。自分で寝返りができない場合には、体重で圧迫されている部分の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚に炎症をおこす‟褥瘡”ができやすくなります。褥瘡予防として、数時間おきに体位を変えたり、マッサージなどで血流を促進してあげましょう。特に大型犬は体重が重い分、体にかかる負荷が大きいため要注意です。また、活動量の低下に伴い、体が冷えやすくなっています。手足を温めてあげることも効果的です。
最後に
愛犬・愛猫の身体的な衰えを感じたら、食事やお散歩、お部屋の環境など、日常的な生活面を少し見直してみましょう。飼い主さんの手助けによって、愛犬・愛猫はさらに過ごしやすくなると思います。
しかし、お散歩や排泄の介助などの日々のお世話は、飼い主さんが体力的・精神的にも大変と感じるときがあるかもしれません。一人で抱え込まず、家族と協力し無理のない範囲で取り組むことが大切です。
また、選択肢の一つとして、動物病院での一時預かり(ペットホテル)やペットシッター、老犬ホームなどがありますので、いざというときに利用できるよう事前に調べておくとよいでしょう。
【関連記事/PNS】犬猫の長寿化で、介護が必要な犬猫が増えている?・愛犬・愛猫の将来を考える
【関連記事/PNS】犬の年齢、人間に換算すると何歳?平均寿命は?