みなさまのペットは、今おいくつですか?犬猫は人よりも数倍早いスピードで年を重ねていきます。私の飼っていた犬も高齢になった時、自分で歩くことができなくなりました。いつか訪れるシニア期。シニア期になるとどういった変化があるのでしょうか?
シニア期とはいつから?
犬猫の場合、一般に概ね7歳を超えるころからがシニア期といわれることが多いです。寿命がのびてきている現在、本格的に高齢になったと感じるのはもう少し年を重ねてからのことが多く、7歳になって急に体調に変化が現れるわけではないですが、そろそろシニア期について考えていくとよいと思います。
シニア期になるとどうなるの?
食餌の変化
若いころにくらべ、消化機能の低下や筋肉量の減少により、1日に必要なカロリー数も減っていきます。シニア用のフードは一般に7~8歳ころからの使用を目安とした製品が多いですが、急に体が老化するわけではないので、必ずしも年齢とともにフードを切り替える必要はないでしょう。
性格の変化
一般に、自我が強くなったり、幼くなったりしたと感じる飼い主が多いようです。食事の好みのこだわりが強くなる、性格がきつくなるなどの変化がみられる場合があります。
運動量の変化
筋力の低下とともに運動量や持久力も減っていくでしょう。関節の可動域も狭まっていきますので、フリスビーやボール投げ等の急な方向転換を伴うスポーツは様子をみながら行いましょう。
衰えがでてくる
シニア期になると、視力、聴力、筋力の衰え(寝たきり)、排せつの失敗などの身体的な衰えや、睡眠障害、夜泣き、徘徊などを伴う認知機能の衰え(認知症)がみられることがあります。
シニア期にみられるサイン
視力低下 | ものにぶつかる。夜の散歩を嫌がる。おもちゃを目で追えなくなる。 |
聴力低下 | 呼んでも反応しない。今まで反応していた音(フードを用意する音など)に反応しない。 |
筋力・関節の衰え | 段差を躊躇する。疲れやすい。高いところに登れなくなる(猫) |
排泄の失敗 | トイレ以外の場所でしてしまう。散歩の時間までトイレがまてない。 |
睡眠障害 | よく寝るようになる。寝続ける時間と起き続ける時間のバランスが悪くなる。昼夜逆転。 |
徘徊 | 家の壁にそって、歩き続ける。 |
こういったサインの中には、腫瘍、関節炎、白内障、腎不全など病気が原因でみられるものもあり、適切な治療で、症状の進行を遅らせることができる場合もあります。高齢になったからと決めつける前に一度動物病院を受診してみるとよいでしょう。
シニア期に向けた備え
実際に7歳を迎えたのちに、できるだけ健康に過ごせる期間をのばすためにできることを見ていきましょう。
食餌の見直し
シニア用のフードの方が、高齢になってかかりやすい病気に配慮した成分バランスになっていることが多いので、フードの切り替えを徐々に考えていきましょう。急にフードを切り替えると吐いたり下痢をしたりすることもありますので、食べなれていないフードに切り替える場合は、徐々に新しいフードの割合を増やしていき、体調をみながらゆっくりと変えていきます。関節や脳、目の健康のためのサプリメントもありますので、使用を考えてみてもよいでしょう。
住環境の整備
視力の衰えが見られ始めてからの部屋の模様替えはしないほうがよいと思われますので、住環境の見直しは早めに検討するとよいでしょう。すべりにくい床にする、段差を減らすなどの工夫も必要です。
散歩コースの見直し
寝ている時間が増えたり疲れやすくなったりしても、筋力の低下は防ぐよう散歩は行いましょう。足腰への負担が出ているようであれば、大きな段差や急な坂を避けた散歩コースに変更するなど、体調にあわせつつ運動は続けましょう。ボール投げ等の激しい運動も気分転換として様子をみながらゆっくり行いましょう。
体調の変化への対応
動物病院で健康診断を受け、病気の早期発見や予防を心がけることもよいでしょう。体を触ったり、生活の中で感じたりした体調の変化について相談するきっかけにもなります。
耳が聞こえにくくなると待てやよしなどのコミュニケーションをジェスチャーでとる必要がでてきます。また、実際に介護が必要になることもあります。介護についての情報収集を行い、イメージをふくらませておくことも大切です。
シニア期について知り、いくつになっても愛らしいペットと素敵なシニアライフを過ごせるよう願っています。
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ペット&ファミリー損保所属獣医師