初夏から秋にかけて、愛犬の皮膚のトラブルでお悩みではありませんか?
「なかなか良くならない・・・」「暑くなってくると、ひどくなる・・・」
気温と湿度があがる時期は、皮膚症状が悪化しやすい傾向にあります。おうちでできるケアや予防のポイントを押さえて、症状の悪化を防ぎましょう!
また、柴犬はアレルギー性皮膚炎になりやすい犬種です。これまで皮膚炎になったことがないという方も、適切なケアと予防法を身につけて、できる限り予防しましょう!
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・柴犬とは?性格・特徴から飼い方まで魅力を紹介!
動物病院への通院理由第2位!アレルギー性皮膚炎!
弊社の保険金支払実績データによると、アレルギー性皮膚炎は、動物病院への通院理由上位のひとつです。全品種の中で柴犬は最も多く、全品種の中で17%を占めています。(下図)
実際にかかる費用は?
弊社の保険金支払実績データによると、柴犬の1回の通院費用平均は、12,869円です(入院、手術費用は除く)。
通院件数は特に7月〜10月にかけて増える傾向にあります。(下図)
ただ、アレルギー性皮膚炎の場合、完治する事は難しく、継続的な治療が必要になることが多いため、1年中通院することで医療費が高額になることも少なくありません。
ケアや予防のポイント
アレルギー性皮膚炎の場合、悪化を防ぐことがポイントです。
症状を抑えることで、内服薬の種類を変更または減量・休薬できる場合があり、長期間の服用による副作用のリスクを軽減できます。また、通院回数を減らし、医療費用を抑えることにもつながります。
愛犬の症状をふまえ、今からできる悪化予防策について、考えてみましょう。
①正しくスキンケアをする
普段どのようにブラッシングやシャンプーをしていますか?やり方によっては症状を悪化させてしまう可能性があります。スキンケア方法が愛犬の今の皮膚状態に適しているか、今一度見直してみましょう。
柴犬の特徴をふまえ、スキンケアのポイントを説明します。
※皮膚症状がひどい場合は、まずは病院で皮膚の診察を受けてください。
まずはブラッシング
柴犬の被毛はダブルコートといい、固くまっすぐな毛のトップコート(上毛)と細くやわらかいアンダーコート(下毛)から構成されています。春と秋の換毛期は、大量に毛が抜けますが、これはいわゆる「衣替え」です。気温の変化に対応するための温度調節としてとても重要です。
古い毛が残ったままだと、その下の皮膚に炎症を引き起こす可能性があります。換毛期だけでなく、定期的に優しくブラッシングをしてあげましょう。ブラッシングを嫌がる場合は、まずは遊びながら毛や皮膚を触る練習をしてみましょう。
次にシャンプー
犬の皮膚の厚さは人間の1/3程度でとてもデリケートです。
特にアレルギー性皮膚炎を発症している場合、皮膚のバリア機能※はとても弱くなっているため、できるだけ刺激は控えた方が良いでしょう。
※皮膚のバリア機能とは:体内の水分の蒸発を防ぎ、外部の異物(アレルゲン)が皮膚の中に侵入するのを防ぐ働きのこと。
【液剤】
一般的な市販のシャンプーではなく、体質や現在の皮膚の症状に合ったシャンプーを選択しましょう。できればかかりつけの先生と相談し、選択すると良いでしょう。
【頻度】
症状が落ち着いている時期でも、月に1回はシャンプーをしてあげましょう。ただし、悪化しやすい時期や皮膚の状態によっては、必要な頻度が異なりますので、かかりつけの先生の指示に従いましょう。
【注意点】
熱いお湯やドライヤーの温風は、痒みを悪化させてしまうことがあります。ぬるま湯(36~38℃)で、泡立てた泡で優しく洗うように心がけましょう。吸水性の高いタオルやペットシーツ、キッチンペーパーなどを活用してできるだけ水気を取り、必要に応じてドライヤーを使用しましょう。
最後は保湿剤
シャンプー後は、必ず保湿しましょう。
バリア機能が低下している皮膚にとって、脂成分を補う保湿剤はとても重要です。シャンプー後だけでなく、毎日のケアとして保湿をすることはよいとされています。
【液剤】
セラミドやコレステロール、必須脂肪酸、グリセリン、ヘパリン類似物質などが配合された保湿剤を選ぶとよいでしょう。
【剤形】
軟膏、クリーム、ローション、フォーム(泡)、スプレーなどがあります。使いやすく、愛犬にあった剤形を選択して、毎日継続することが大切です。
〜月に1回はシャンプーを!スキンケアのポイントのまとめ〜
・ブラッシングは丁寧かつ定期的に!
・シャンプーの後は必ず保湿剤を!
② 生活環境を見直し、ノミ、ダニの駆虫/予防を忘れない
花粉やノミ、ダニはアレルギー症状を引き起こす原因となります。
こまめに掃除をして、できるだけ原因となりうるアレルゲンを除去しましょう。犬のハウスだけでなく、家族を含めた生活圏内を定期的に掃除しましょう。
ノミやダニは、散歩などで日常的に接触する機会が多く、さらには人間に付着して室内に侵入しているケースもあります。最近の住宅は気密性が高く、冬でも温かい室内ではノミやダニが増殖しやすいのでノミやダニの発生シーズンだけでなく、年間を通して定期的に予防しましょう。
湿度が高い梅雨の時期や暑い時期は、適度に冷房を利用し、痒みを活性化する体温上昇を防ぐことも有効です。
③ ストレスを緩和させる
適度な運動やスキンシップは、身体だけでなく心の健康を保つためにも欠かせません。
暇を持て余すと、手足を舐めたり噛んだりする子がいます。舐めたり噛んだりすると、痒みを誘発し皮膚炎が悪化する要因となるため、他に注意を向けられるような遊びをしたり、一人遊びができるおもちゃなどを与えてみるのも一つの方法です。
④ 現在のフードを見直したり、サプリメントを併用する
アレルギー性皮膚炎を発症している犬の場合、食物にもアレルギー反応を示していることがあります。(食物:小麦、大豆などの穀類、牛肉、豚肉など、一般的なドックフードに含まれているもの)
アレルギー検査で陰性だった場合でも、検査の特性上、全く食物アレルギーがないとは言い切れません。食物アレルギー反応が出にくいフードやアレルギーの原因にならないフードについて一度検討してみてはいかがでしょうか?
アレルギー性皮膚炎の犬に適したフードやサプリメントを継続して服用することにより、症状を軽減させることができる場合があります。個体によっては痒み止め等の内服薬を減量、休薬できる場合もあります。
※アレルギー性皮膚炎の重症度によって、治療内容は異なります。また、治療効果には個体差がありますので、製品の詳細についてはかかりつけの先生にご相談ください。
最後に
アレルギー性皮膚炎は、年齢とともにコントロールが難しくなる傾向にあります。治療の目標は、生活の質(Q O L)をあげる、または維持することです。
悪化しやすい時期とケアや予防のポイントを押さえ、ぜひ、今からでも出来ることから取り組んで、皮膚トラブルを少しでも減らしましょう!
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ペット&ファミリー損保所属獣医師