肥満にならない食事管理とは?
いつも愛犬にどんなフードを与えていますか?パッケージ裏の表示に注目してみましょう。
パッケージ裏には原材料名や成分表示と一緒にフードの給与量の目安が書かれていることが多いです。給与量は現在の体重で与えるのではなく、理想の体重で与えることがポイントとなります。理想の体重については、「肥満度チェックをしてみよう」でお話しした肥満度の指標となる「ボディコンディションスコア(BCS)」を参考にしてみましょう。
パッケージに低脂肪と表記のあるフードに変更するとさらに効果的です。おやつも最低限にするなど、日常的な食事管理が大切となります。
肥満になると膵炎になる?一生つきあう可能性も!
肥満や脂肪の多い食事が原因と考えられている病気の一つに膵炎があります。
膵炎とは、膵臓に炎症が起こる病気です。膵臓は消化酵素を出し、食べ物の消化に関わっています。この消化酵素によって膵臓自体が消化されると膵炎が起こり、様々な症状を引き起こします。
※膵炎は他にも、膵臓の損傷(腹部の打撲や外科手術)、薬物、感染症、内分泌疾患、腫瘍など様々な要因で発症します。犬では中高齢での発症が多く、ミニチュアシュナウザーでよく見られると言われています。
こんな症状が見られたら注意
膵炎になった場合、突然激しい嘔吐が起こり、食欲や元気がなくなります。また、強い腹痛があることも特徴です。
お腹が痛いと人の場合はうずくまる姿勢になりますが、犬の場合はお尻を上げて前足をのばし伏せをするような「祈りの姿勢」をすることがあります。
治療
嘔吐が続く場合は吐き気止めの注射を行い、水分を補給するため点滴も行います。また、お腹の痛みを抑えるために鎮痛剤の注射も行います。そして、膵臓を休めるために絶食絶水をさせ、回復後は炭水化物や低脂肪である処方食を少しずつ与えていきます。
最近では膵炎の炎症を抑える注射をすることもあります。治療の高度化により様々な治療が行われるようになり、治療費も高額となる傾向が出ています。
膵臓は胃腸や肝臓に近いため、周辺の臓器に炎症が広がりやすく全身に影響が出ることがあります。重症の場合、長期的な入院治療が必要となり治療費が高額になる場合もあります。また、膵炎は再発しやすく、長期的に膵臓が影響を受け続けると慢性膵炎に移行するため、一生つきあっていくことになる可能性もあるのです。
肥満がもたらす健康への悪影響は、他にも様々なものがあります。 「ボディコンディションスコア(BCS)」を参考にしながら、日頃から愛犬の健康管理に注意していきましょう。
ペット&ファミリー損保所属獣医師